速報 小学校等の臨時休業関連、保護者の休暇取得支援の助成金(5月26日付) 新型コロナウイルス対応 #35

速報 小学校等の臨時休業関連、保護者の休暇取得支援の助成金(5月26日付) 新型コロナウイルス対応 #35

新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の休業に伴い、保護者として子供の世話をしなければならない社員に対して、特別有給休暇(賃金全額支給)を取得させた場合の助成金が、この度改定される事となりましたので、速報としてご案内致します。

改定される概要は以下の通りです。

1.助成金上限額の引上げ
      1日あたり8,330円から15,000円に引き上げられます。(但し4月1日以降)
2.支援金(フリーランサー=委託を受けて個人で仕事をする人向け)の支給額(定額)の引上げ
      1日あたり4,100円から7,500円に引き上げられます。(但し4月1日以降)
3.期間延長
         対象となる休暇   「令和2年6月30日まで」から「令和2年9月30日まで」
         申請期間               「令和2年9月30日まで」から「令和2年12月28日まで」

一言で言えば、この改定は、“恥知らずの大馬鹿野郎”の仕業と個人的には思っています。
注:PMP News LetterはPMPとしての公式見解ですが、上記は筆者鈴木個人の考えです。後日、PMP内のNews Letter検討委員会で不適当と判断され、News Letter を掲載するHPからはこの文章のみ抹消される事もあり得ます。本来はこのような表現は鈴木個人のブログで発表すべきものかもしれません。筆が滑っています。

ちなみに、鈴木個人ブログでは雇用調整助成金についても個人的な見解を掲載してます。
HR 羅針盤―ベテラン人事コンサルの思い- https://xn--jgrt01g.com/275

– 閑話休題 –
この助成金は緊急事態宣言の発出よりもはるか以前の2月27日、総理から「ここ1、2週間が極めて重要な時期」「子どもたちの健康・安全を第一に考え、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、3月2日から春休みまで、臨時休業を行うよう要請」という唐突な発言を受け、子供の世話をしなければならない保護者が仕事休めるようにとの特別休暇の創設を促すために導入された新しい助成金でした。
この助成金、緊急事態宣言もあり、現在は適用対象期間が6月30日まで延長されています。
緊急事態宣言も解除され、学校も始まろうという時期に、助成の上限額が約8割も一気に引き上げられました。
無能な指揮官は、戦線の拡大につれ戦力を逐次投入すると言います。
今回は学校が再開されるというタイミングですから、戦線の拡大ではなく、戦線が縮小されようという時に、戦力を8割も追加投入するものですね。

これまでの上限額は1日8,330円、1か月に換算すれば最大で174,930円程度。大卒初任給が20万円を超える昨今です。賃金全額支給の条件を満たす特別有給休暇を与えるためには、ほとんどすべての企業は174,930円を超過する額は自腹を切り、自宅でお子さんの世話をしてもらうために社員を休ませていました。

今回の改定で、このように泣く泣く“自腹を切った”企業は後付けながらも、追加助成を受ける事が出来ます。もっとも3月中に与えた特別休暇の上限は15,000円ではなく8,330円のままですのでご注意ください。

こんな事例を目にしました。
1.最初の春休みまでの学校休業の協力要請は会社として頑張って対応しました。3月は賃金全額支給の特別有給休暇を与えました。しかしながら、これが延長された4月以降については力が尽きました。4月は新年度、新しい年次有給休暇の付与が始まる時期でもあり、4月以降は、特別有給休暇に代え普通有給休暇対応としました。
2.親会社は賃金全額の特別有給休暇を導入したが、子会社である当社の財務基盤はそこまで盤石ではない。8,330円を超える金額を会社で負担する事はできないと判断して特別有給休暇の導入を見送りました。うちには親会社からの出向社員もいるので、ずいぶんと不平不満の声を聞きました。

上記のような事情の会社には何のメリットもない、今回の変更です。もっと早く決まっていれば、より多くの会社が特別有給休暇を創設し、社員が安心して子供の世話をする環境を整えられたことでしょう。

新型コロナウイルスという未経験の感染症パンデミック対応ですので、行政がすべてに万全の手を打てるとは思えません。期待もしていません。間違いがあるのも当然の事です。しかしながら、見通しを誤ったと判断した時点で、少なくとも、これを総括し次に活かすべきだろうと思います。スペイン風邪は日本の場合2年目の死亡者数は1年目を大きく上回りました。厚生労働省のプレスリリース、関連する通達、Q&A等、隅々まで目を通しましたが、総括はおろか、厚労省の信頼“回復“に繋がるような記載は一言もありませんでした。

厚労省のページには今回の変更を盛り込んでいる情報と盛り込んでいない情報が混在していますのでご注意ください。
今回の変更についての厚労省からの詳細は以下の通りです。
報道発表:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11498.html
助成金HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
助成金Q&A:https://www.mhlw.go.jp/content/000633495.pdf

以 上