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2025.11.25

  • 労働法改正
  • 実務シリーズ

カスタマーハラスメントの施行日が2026年10月1日に決定される見込みです

6月4日の通常国会でカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)に関して、改正労働施策推進法改正法案が可決されました。その後、カスハラについてはマスコミ各紙で様々な報道がなされましたが、肝心の改正法の施行日が“公布日から1年6月を超えない範囲内において政令で定める日”のままでしたが、11月17日に開催された厚生労働省内の労働政策審議会 (雇用環境・均等分科会)で、ようやく「令和8年 10月1日としてはどうか」との意見でまとまりました。厚生労働大臣に建議された後、30日程度のパブリックコメント期間を経て正式に決定されますが、これまでの経緯上、カスハラの改正法稼働時期は来年10月1日を想定して各社準備を始めても良いと思います。

因みに、この審議会では、「職場におけるカスタマーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案」についても議論されています。施行日前には指針も公表されることになりますが、留意すべき事項は素案の「3 事業主等の責務」です。
「 法第 34 条第2項の規定により、事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントを行ってはならないこと。その他職場におけるカスタマーハラスメントに起因する問題(以下「カスタマーハラスメント問題」という。)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努めなければならない。なお、職場におけるカスタマーハラスメントに起因する問題としては、例えば、労働者の意欲の低下などによる職場環境の悪化や職場全体の生産性の低下、労働者の健康状態の悪化、休職や退職などにつながり得ること、これらに伴う経営的な損失等が考えられる。 また、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、カスタマーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。」(注:太字はPMPによるもの)

その上で「4 事業主の措置義務」として

(1)  事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
イ 職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保 護する旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

ロ 職場におけるカスタマーハラスメントの内容及びあらかじめ定めた職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を、管理監督者を含む労働者に周知すること。
⑵   相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
イ 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
ロ 相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、相談窓口においては、被害を受けた労働者(以下「被害者」と いう。)が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、相談を行っ た労働者(以下「相談者」という。)の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止 めなどその認識にも配慮しながら、職場におけるカスタマーハラスメントが現実に 生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるカスタ マーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適 切な対応を行うようにすること。
⑶   職場におけるカスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

イ 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
ロ 職場におけるカスタマーハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
ハ 改めて職場におけるカスタマーハラスメントに関する方針を周知・啓発し、必要 な場合には、職場におけるカスタマーハラスメントの発生の原因や背景となった商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などの 改善を図る等の再発防止に向けた措置を講ずること。
⑷   職場におけるカスタマーハラスメントへの対応の実効性を確保するために必要なそ の抑止のための措置
⑸   ⑴から⑷までの措置と併せて講ずべき措置
イ 職場におけるカスタマーハラスメントに係る相談者等の情報は当該相談者等のプ ライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該カスタマーハラスメ ントに係る事後の対応に当たっては、相談者等のプライバシーを保護するために必要 な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること。
ロ 法第33条第2項、第36条第2項及び第37条第2項の規定を踏まえ、労働者が職 場におけるカスタマーハラスメントに関し相談をしたこと若しくは事実関係の確認 等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相 談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに 応じたこと(以下「カスタマーハラスメントの相談等」という。)を理由として、解 雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

を掲げています。

これらについては正式に指針が発表された時点で改めて詳しくお伝えします。

以    上

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