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2023.04.07
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- 実務シリーズ
2024年4月から:雇用契約書の追加記載 – その2 就業の場所と従事すべき業務の記載要領の変更

『雇用契約書の追加記載』その1に続き、その2をご案内いたします。
その1は有期雇用者の雇用期間に関する変更ですが、これについては 4月4日付PMP News:雇用契約書の追加記載 – その1 有期労働契約書の更新の上限について をご参照ください。
何れも3月30日付の労働基準法施行規則の改正によるもので、来年2024年4月1日からの施行となります。
改正されるのは以下の朱記表示の個所となります。
以下の労働基準法施行規則が改正され、
第5条 使用者が法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。(略)
(略)
三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
(略)
全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇入れ直後」の就業の場所・業務の内容に加え、これらの「変更の範囲」(※1) についても明示が必要になります。
厚生労働省は“「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。” という補足説明を行っています。
詳しくは厚生労働省HPから以下をご参照ください。
・労働条件通知書
・リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
改正に至る経緯は厚生労働省労働条件審議会の議事録に示されています。
特に、今回、雇い入れ直後の就業の場所と従事すべき業務の記載を義務化し、雇い入れ後の就業の場所と従事すべき業務については変更の範囲の記載に留めるとしたのは、この議事録で参照した最後尾の委員の意見が反映されているように思います。
(審議会議事録からの抜粋)
〇 労働条件の変更については、(略)転居を伴う配転など、労働者の生活に与える影響が非常に大きい場合も数多くあります。労働者は具体的な変更内容を理解・納得することが必要であり、そのためには、労基法の労働条件明示のタイミングに労働条件の変更時を追加する必要があるということは、改めて指摘をしておきたいと思います。
〇 就業場所・業務変更の範囲を書面明示することは、労働条件を明確にするために有用でありますが、一方で、限定された職務等が廃止された場合には、限定正社員の解雇等の不利益な取り扱いが行われる懸念があります。
〇 就業場所・業務の変更の範囲の明示と労働条件変更時の書面の明示について。裁判例を見ますと、労働契約上の限定の有無あるいは範囲についての取決めがないために、事後の紛争となって、限定合意があったかの認定が裁判所に委ねられるという事案があるということがあります。こういう事例から考えますと、勤務地、職務について、将来的な変更の範囲を示す、明示するというのは、トラブルの防止に資するものと受け止めております。
〇 一方で、勤務地と職務内容変更範囲を明示するということは、これまで義務がなかったということもありまして、各企業とも初めて対応するということになるかと思います。変更の範囲の決め方については、(略)どのように定めてよいか等々、不安に思う企業担当者の声も聞かれ始めております。
〇 採用時の明示義務に加えて、労働条件変更時における明示の義務を同時に行うことは、企業にとっての負担がさらに大きくなると感じます。まずはベース部分となる勤務地・職務の変更範囲の明示の義務化にとどめ、ベース部分が定着してから変更時の明示について検討することがよいのではないかと改めて申し上げたいと思います。
とは言え、企業の人事諸氏は、具体的な記載要領についてまだ戸惑われているかもしれません。
厚生労働省のHP、“令和4年度労働政策審議会労働条件分科会報告を踏まえた労働契約法制の見直しについて(無期転換ルール及び労働契約関係の明確化)” の中にQ&Aが設置されています。残念ながら4月7日現在、Q&Aに具体的内容は何も掲載されていませんが、後日、このQ&Aの中でさらに具体的な説明があるものと思われます。その際には改めてPMP Newsでご案内しましょう。
以 上
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