PMP Premium News
2018.03.20
- 労働判例
同一労働同一賃金
日本郵便 大阪地裁判決

日本郵便(株)の有期契約社員の同一労働同一賃金問題は昨秋、東京地裁では、年末年始勤務手当については「最繁忙期の勤務に対する対価で、非正規社員に支払われないのは不合理」であり正社員の8割相当、住居手当については「転居を伴う異動のない正社員にも支給され、非正規社員に支給されていないのは合理的ではない」であり正社員の6割を支払うとの判断を示したのは、昨年お知らせの通りです。
同様の訴えが大阪でも進んでおり、2月21日大阪地裁では、東京地裁判決と同様、労働契約法第20条を根拠として有期契約労働者に正社員と同一の賃金の支払いを命じました。詳しく見ると、年末年始手当と住宅手当については東京地裁で認めた正社員比との格差を認めず、年末年始手当は「年賀状の配達など繁忙業務に従事するのは契約社員も同じ」、住居手当は「転居を伴う異動のない正社員にも出ている」として正社員と同額の手当の支給を求めました。また大阪地裁は新たに家族手当(日本郵便では「扶養手当」)については、「職務の内容の違いで必要性が大きく左右されず、正社員と同様の扶養家族に対する負担が生じており、支給しないのは不合理」と指摘し、これも不支給を違法と判断しました。
地裁判断とは言え、「家族手当を有期契約社員にも同額を支給すべき」という判断については注意を喚起します。家族手当を支給されている企業は多いと思いますが、特に給与規定の記載内容を再検討し、労働契約法第20条(注)に沿った合理的な差の説明を新たに用意する必要があります。
注:(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
関連記事(同一カテゴリの最新記事)
-

-
2025.05.16
- 労働判例
1,000円の着服で退職金1,200万円の不支給 – 最高裁は適法と判断
2025年4月17日、最高裁第1小法廷は裁判官5人が一致して使用者側の対応を適法と判断しました。 経緯を簡単にご紹介しましょう。 京都市交通局、勤続29年のバス運転手。…
-

-
2025.04.24
- 労働判例
4年半の自宅待機への評価 ‐ みずほ銀行事件 2024年4月24日東京地裁
みずほ銀行の裁判例をご紹介します。 裁判を起こしたのは、地方銀行からみずほ銀行に2007年10月にキャリア即戦力採用枠で採用された人物「甲」。 甲は、他の従業員に対する言動…
-

-
2024.12.10
- 労働判例
- 実務シリーズ
65歳までの雇用期待を認める2024年10月17日付の東京高裁判決
気になる裁判例がありましたので、情報として皆さんに共有したいと思います。 筆者が所属する社労士会からの情報ですが、ニュースソースは労働新聞とあります。 東京都内の印刷会社で…
-

-
2024.11.08
- 労働判例
最高裁判断を “正社員、待遇下げ「平等」の衝撃” とした報道についてのPMPコメント
10月20日付日本経済新聞で大きく扱われていました。7月の済生会山口総合病院事件の最高裁判断に関する記事です。 同一労働同一賃金の観点から病院の正規職員と非正規職員間の格差是正を…
-

-
2024.07.11
- 労働判例
海外出張中の交通事故で後遺障害等級第1級 ➡ 出張を命じた企業の責任 – 東京高裁23年1月25日
事件の概要 Xは勤務先Y1の親会社Y2に出向、Y2の東京本社に勤務中、Y2の業務にため1週間マレーシアに出張。Y2の孫会社のマレーシア法人のマレーシア人従業員運転の乗用車に同乗し…


