改正社労士法が成立、10月からの施行

改正社労士法が成立、10月からの施行

与野党伯仲の国会にあって、旧態依然とした日本の労働市場を揺さぶるような労働法の改正は、その兆しすらありませんでした。そのような中で、大変恐縮ですが、第9次の社会保険労務士法の改正が今国会で6月18日に成立しました。

PMPも実力あるベテラン社労士を抱えていますので、皆さまにいち早く法改正の内容をお伝えするべきと考え、自ら励ましながらのお知らせとなります。

改正法は大きく4項目ですが、皆さまに、影響がありそうなものに絞り込んで、私見も交えながらご説明いたします。

1.社労士の業務に、正式に労務監査が含まれることになりました。いわゆる社労士の3号業務といわれている、 “事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項についての相談・指導” の中に、 “これらの事項に係る法令並びに労働協約 、就業規則及び労働契約の遵守の状況を監査すること” という文言が追加されました。

2.弁護士の補佐人としての役割が “訴訟代理人である弁護士” の補佐人から、 “代理人である弁護士”(要は “訴訟” が外れました)の補佐人に拡大しました。社労士会の公式な説明は「社会保険労務士による裁判所への出頭及び陳述に関する規定の整備」となっています。実際には、訴訟となると社労士は弁護士にバトンタッチというケースが圧倒的です。PMPでも、裁判にならないためには、という観点からや、裁判になったとしても会社が有利となっているためには、という観点からのアドバイスを行うのが、クライアントのニーズに合致するだろうとは思っています。今後の社労士の関与の拡大の可能性について、これを機に再検証してみようと思います。

3.実は、個人的には、社労士法第1条の “目的” が “社労士の使命” に変更となり、1条のほぼ全文が書き改められたことについての意義を見出しています。最後に改正法第1条全文をお示しします。その中で、ゴシック体が改正後、新しく付加された記載となります。

社会保険労務士は 、労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施を通じて適切な労務管理の確立及び個人の尊厳が保持された適正な労働環境の形成に寄与することにより、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上並びに社会保障の向上及び増進に資し、もつて豊かな国民生活及び活力ある経済社会の実現に資することを使命とする。

最後に、社会保険労務士会連合会の本改正法の要約は以下の通りです

第一 社会保険労務士の使命に関する規定の新設
第二 労務監査に関する業務の明記
第三 社会保険労務士による裁判所への出頭及び陳述に関する規定の整備
第四 名称の使用制限に係る類似名称の例示の明記

以    上