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2026.03.06
- 労働法改正
- 実務シリーズ
4月から治療と就業の両立支援の “努力義務” (令和8年厚生労働省告示第28号)がスタートします!

昨年の通常国会で労働施策総合推進法が改正され、「事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。」こととなりました。
今回ご案内する告示28号は、治療と就業の両立支援のために企業が必要な取り組みについて整理したものです。努力義務ですので、すべての企業が4月に備えなければならないということではありませんが、人手不足の労働市場が当面継続するという厳しい環境を考えれば、今、活躍している社員が安心して働くことの職場環境を整えるということは、人事として大切なミッションの一つだと思います。その観点から、この告示、人事の皆様は、ぜひ目を通していただきたいと思います。
まず治療と仕事の両立の法の根拠を整理しておきましょう。
✔ 労働施策総合推進法第27条の3
掲記に基づき、治療を受ける労働者の治療と就業の両立を支援するための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたのが、本指針となります。
また本指針で示されている企業が行う具体的な取り組みの際に、留意すべき事項は以下の労働安全衛生法各条となります。
✔ 労働安全衛生法第66条(健康診断)
(抜粋)健康診断及び医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは就業上の措置(就業場所の変更、作業の転 換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等)の実施を義務付ける
✔ 同法 第68条(病者の就業禁止)+安衛規則第61条第1項第2項
(抜粋)当該労働者の疾病の種類、程度及び産業医等の意見を勘案の上、可能な限り配置転換、作業時間の短縮その他の必要な措置を講ずることによって就業の機会を失わせないようにし、やむを得ない場合に限り就業を禁止する(略)種々の条件を十分に考慮して慎重に判断すべき
✔ 同法 第62条(中高年齢者等についての配慮)
(抜粋)配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない
さて、実際の取り組み際しては以下のように進めるとされています。
治療と就業の両立支援を行うに当たっての留意事項は以下の通りです。
(1)安全と健康の確保‐基本スタンス
治療と就業の両立支援に際しては、就業によって、疾病の増悪や再発、労働災害が生じないよう、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の適切な就業上の措置及び治療に対する配慮を行うことが就業の前提となる。
(2)労働者本人の取組
治療と就業の両立に当たっては、疾病を抱える労働者本人が、主治医の指示等に基づき、治療を受けること、服薬すること及び適切な生活習慣を守ること等、治療や疾病の増悪防止について適切に取り組むこと。
(3)労働者本人の申出
治療と就業の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となる。なお、事業場内ルールの作成及び周知、労働者及び管理職等に対する研修による意識啓発並びに相談窓口及び情報の取扱方法の明確化等、申出が行いやすい環境を整備すること。
(4)措置等の検討と実施
・就業継続の希望や配慮の要望を聴取し、十分な話合い等を通じて労働者本人の了解を得られるよう努める
・疾病のり患をもって安易に就業を禁止せず、主治医や産業医等の意見を勘案し、可能な限り配置転換、作業時間の短縮その他の必要な措置を講じて就業の機会を失わせないよう留意。
・疾病及びその治療に対する誤解や偏見等が生じないよう、事業主、人事労務担当者、上司や同僚等の関係者において必要な配慮を行う
(5)治療と就業の両立支援の特徴を踏まえた対応
入院や通院、療養のための時間の確保等が必要となる。疾病の症状又は治療の副作用若しくは後遺症等によって、業務遂行能力が一時的に低下する場合等➡時間的制約に対する配慮だけでなく、労働者本人の健康状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置及び治療に対する配慮を行う。
(6)個別事例の特性に応じた配慮
症状や治療方法等は個人ごとに大きく異なるため、個別事例の特性に応じた配慮が必要。
(7)対象者、対応方法等の明確化
事業場の状況に応じて、事業場内ルールを労使の理解を得て作成するなど、治療と就業の両立支援の対象者、対応方法等を明確にしておく
(8)個人情報の保護
治療と就業の両立支援を行うためには、症状、治療の状況等の疾病に関する個人情報は機微な情報であることから、原則として、事業主が労働者本人の同意なく取得してはならない。また、把握した健康情報は、 当該情報を取り扱う者の範囲や第三者への漏えいの防止も含めた適切な情報管理体制の整備が必要
(9)治療と就業の両立支援にかかわる関係者間の連携の重要性
ア 事業場の関係者(事業主、人事労務担当者、産業保健スタッフ、上司や同僚等、労働組合等)
イ 医療機関の関係者(医師(主治医等)、看護師、医療ソーシャルワーカー等)
これ以外に、地域で事業主や労働者を支援する関係機関・関係者や必要ある場合は労働者の家族との連携
各企業における環境整備としては、以下となります。
(1)事業主による基本方針の表明等と労働者への周知
衛生委員会等で調査審議を行った上で、基本方針や具体的な対応方法等の事業場内ルールを作成し、周知。
(2)研修等による意識啓発
(3)相談窓口等の明確化
(4)治療と就業の両立支援に関する制度、体制等の整備として例えば・・・
ア 休暇制度、勤務制度の整備
(ア)休暇制度 ① 時間単位の年次有給休暇 ② 傷病休暇、病気休暇
(イ)勤務制度 ① 時差出勤制度 ② 短時間勤務制度 ③ 在宅勤務制度 テレワーク制度 ④ 試し出勤制度
詳しくは厚生労働省 『 治療と仕事の両立支援指針 』をご参照ください。
以 上
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