PMP Premium News
2026.03.04
- 労働法改正
- 実務シリーズ
4月から101人以上の企業は女性管理職比率、101人以上300人までの企業はさらに男女間の賃金差異の公表義務がスタート

女性活躍推進法ではすでに2022年に、女性活躍推進のための一般事業主行動計画策定義務の対象企業を301人以上規模から101人以上の規模に拡大済ですが、この流れに沿う新たな人事関連の数値の公表義務がこの4月からスタートします。
1.社員数101人以上300人までの企業に対する男女間の賃金差異の公表の義務化
まず、常時雇用する労働者の数が101人以上300人までの企業に、男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表が義務付けられます。
注:ご参考までに、根拠となる法改正については、昨年4月30日付PMP News「 今国会上程の労働法改正案 」をご参照ください。
これに従来からの、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」と「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」(具体的な14項目の選択肢については、次の段落の “301人以上企業” についての解説の2表をご参照ください)から1項目以上の公表も加わり、合計3項目以上の公表が義務付けられます。

注:男女間の賃金差異の具体的な算出方法については、2022年7月15日PMP News「 男女賃金格差の公表義務がスタート 」を参照ください。
また、男女の賃金の額の差異については、指標の大小それ自体のみに着目するのではなく、要因及び課題の分析を行い、改善に向けて取り組んでいくことが重要とされています。このため、単に数値の情報を公表するだけでなく、要因及び課題の分析の結果等のより詳細な情報や補足的な情報を公表することも良しとされており、行政はこのような追加的な情報公表を行うことを望ましいと勧めていますので、これも積極的にご検討ください。
2.社員数101人以上のすべての企業に義務付けられる女性管理職比率 等
社員数301人以上の企業は、男女間の賃金差異の公表は2022年からすでに義務付けられています。
今回社員数101人以上の規模の企業すべてに4月から新たに女性管理職比率の公表が義務付けられることになりました。
社員数301人以上の規模の企業についてまとめれば、新たな女性管理職比率と従来からの男女間の賃金差異に「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」から1項目以上、「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」から1項目以上の公表義務を加え、あわせて合計4項目以上の公表が義務付けられます。
女性管理職比率の公表イメージは以下の通りです。
出典:厚労省通達 雇均発 0218 第3号 2026年2月18日「管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合の算出及び公表の方法について」
ここで女性管理職比率の公表に関連して解説を加えましょう。管理職とは、役員を除く課長以上としていますが、さらに課長について、以下の “注” も示されています。ご参考までに。
上記 “注” について一言。
行政からの情報でも、またこれまでのPMPへのお問い合わせからも、 “課長を含む構成員が10名以上” という記載が独り歩きしているように思えます。
課長は9人以上の部下を持つという厳格な定義を意味するものではありません。あくまでも例示列挙です。私見ながら、典型的な課を10人以上の組織としているところに、行政の感覚のズレがあるようです。
例えば、欧米企業ではもう20年以上も前から部下を持つ組織単位として5~6人規模が適切なマネジメントを行い、かつそのマネージャーがある程度プレーヤーとしての役割を果たす場合は5~6人が適正な規模だとされています。
日本企業でも、人事などの管理部門の課では10人未満の規模は珍しくありません。さらには、昭和の時代の旧労働省通達ですが、今でも有効とされている通達には、部下を持たないスタッフ管理職も認めています。上記の②にある呼称・構成員に関係なく、業務の内容及び責任の程度が「課長級」に相当するものという記載が重要です。
注:太字はPMPによる記載
また、厚生労働省は、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合について、指標の大小それ自体のみに着目するのではなく、要因及び課題の分析を行い、改善に向けて取り組んでいくことが重要であるとしています。女性管理職比率の公表に当たっては、単に数値の情報を公表するだけでなく、要因及び課題の分析の結果等のより詳細な情報や補足的な情報を公表することも可能であるとして、さらにはこのような追加的な情報公表を行うことが望ましいと勧めています。
追加的な情報の具体例としては 1.男女別管理職登用比率の公表 2.時系列での情報の公表 3.女性管理職比率の上昇に向けた取組の説明 などを掲げています。
注:厚労省通達雇均発 0218 第3号 2026年2月18日「管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合の算出及び公表の方法について」をご参考ください。
なお、101人以上300人までの企業について新たにスタートする「男女間の賃金差異の公表」、また101人以上企業すべてに新たにスタートする「女性管理職比率の公表」はともに、最初の公表時期については、本年4月1日以降の事業年度の開始後おおむね3か月以内に、前事業年度の実績を公表することとされていますので、ご注意ください。多くは3月末決算期の会社ですが、この場合の公表期限は2027年6月末 – まだまだ時間はあります。とは言えお忘れなく。
なお数値等の公表に際しては各社のホームページによる公表でも構いませんが、厚生労働省が運営する 「女性の活躍推進企業データベース」 を活用することもできます。
厚生労働省は、特に近年この運営サイトの活用を積極的に勧めています。ただし、このサイトを活用すれば自ずと他企業との数値の比較も容易になります。若年層を中心に就職活動時の企業選択のための情報収集手段としてもこのサイトは活用されています。このサイトを活用して自社情報を発信する際は、事前にこの “就職先選択のための参考情報となり得る” という観点からのチェック&レビューを怠りなく対応してください。
最後に、厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課から、2月18日付で、「女性活躍推進法に基づく『男女の賃金の額の差異』及び『管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合』の公表等における解釈事項について」と題した Q&A が発表されています。実際の公表数値の作成等の際には、ご参考ください。
なお、公表しない場合は、労働局が当該事業主に報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができるとされています。また、勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができるとされています。
公表義務に関して、通常の場合は罰則はありませんが、労働局から求められた報告をせず、又は虚偽の報告をした場合は20 万円以下の過料となることもありますので、この点もご注意ください。
以 上
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