PMP Premium News
2026.06.03
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10月から社宅の現物給与額の取扱が変更 – 来年1月の月変による社会保険料負担増の可能性も?

現物給与 – 人事に携わる方々は、ご存じの用語のはずですが、人事の実務に影響ある事態が生じるかもしれません。何社かにお話をしましたが、給与計算を外注しているベンダーからすでに情報として知らされているところは若干数のみ、まったく知らないという企業も珍しくありません。
ご存じの通り、PMPは社労士事務所でもありながら、多くの社労士先生が提供する給与計算や社会保険手続き関係等のアウトソースといわれるサービスは提供しておらず、この PMP Premium News もやや恐る恐るの発信となります。もっともPMPシニアコンサルタントは、筆者の数倍、数十倍、この分野での知見に秀でており、彼らに背を押されての発信ではあります。
上記の都道府県別一覧表 は日本年金機構ホームページから のものです。
給与は、金銭で支給されるのが一般的ですが、住宅(社宅や寮など)の貸与、食事、自社製品、通勤定期券などで支給するものも同じ労働の対価として現物給与と呼び、現物給与で支給するものがある場合は、その現物を通貨に換算し、金銭と合算した金額をその労働者の給与とするというのが基本的な考え方となります。
本来、労働の対価としての給与であれば、税務、社会保険、労働保険で共通の考え方であるべきだと筆者は考えますが、皆様ご存じの通り、行政は、細かい部分はそれぞれの考え方で取り扱いを定める傾向があります。
現物給与についても実はこの傾向があります。まず国税庁と厚生労働省は、“省” が異なるため考え方が全く違います。しかしながら同じ厚生労働省でも、旧厚生省管轄の社会保険と旧労働省管轄の労働保険でも実務上の処理を支える基本的な考え方が一致していないようにも思えます。この点についての PMP Premium News は別の号に譲り、今回は社会保険上の取り扱いに集中してお知らせします。
社宅について、年金機構の説明を纏めると以下の通りとなります。
「住宅の現物給与価額は令和8年10月1日から変更になる。なお、住宅については、居住面積1畳当たりの価額から総面積1㎡当たりの価額に変更になる。」
「現物給与価額の改正は、固定的賃金の変動に該当する。従って被保険者報酬月額変更届が必要になる場合がある。」10月の固定的賃金変更であれば、来年1月に月変になります。また、月変のみならず、入社時から社宅を利用したり新たに社宅を利用する社員の被保険者資格取得時の標準報酬の決定にも何らかの影響が出ることも考えられます。
社会保険料は、使用者と社員が50%ずつの負担ですので、与党 “日本維新の会” が盛んに主張している“社会保険料負担の軽減” が、逆に、負担増となる社員も出てくる可能性があります。
実際の変更は下図【例】の通りです。① が9月末までの現在の考え方、② が10月以降の新しい考え方です。上記一覧表でお分かりの通り、10月からは、社宅の間取りの平方メートル単位で現物給与額が簡単に算出されることになります。
PMPでランダムに調査したところ、現状① に沿い社宅の現物給与額の算出を行っている企業は極めて少なかったようです。① の居住面積のみを集計するのは、借上げ社宅を活用している企業では中々大変な – はっきり言えば無理な – 作業だったのだろうと思います。不動産会社に聞いても教えてくれないことも多いと聞いています。
本件後② ではどの企業でも容易に現物給与額が算出されることになります。

昭和の “社宅” は今や、少数ですが、全国を転勤する営業を主な対象とする転勤者社宅や単身赴任者のための社宅供与などは、今でも珍しくありません。
なお、社宅を供与する場合、多くの企業では、税務の取り扱いを念頭に、社宅使用料等の名目で一部を個人負担としていますが、今回のケースでも、新しい基準で算出された社宅の現物給与額から個人負担額を差し引いた金額が、その社員の住宅供与に対する “現物給与” 額となります。
最後に、本件は月変に該当すれば社会保険料負担額の変動となりますが、高額の月額報酬からすでに、社会保険標準報酬月額の上限に達している役員や社員は本件の影響はありません。健康保険の標準報酬月額は 50等級、対して厚生年金保険は 32等級。上限額が異なります。
これまでも社会保険関連の調査はもっぱら年金事務所が実施しています。側聞すれば、社会保険関係の細かい扱いは年金事務所対応が決まれば、健康保険側は概ねそれに順ずる対応で可であったとも。余談です。
以 上
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