新型コロナ あるある – 新型コロナウイルス対応 #46

新型コロナ あるある – 新型コロナウイルス対応 #46

緊急事態宣言が発出された翌日、PMPに相談が来ました。

「取り敢えず、昨日から社員には自宅待機を命じました。在宅勤務が出来る仕事ではないので休業とするため、就業規則に従い休業手当(平均賃金の6割)を支給するので心配せずとも良いと伝えましたところ、一人の社員から年次有給休暇だと給与全額を受け取る事ができる。未消化が20日間あるので、この期間は年休扱いとして欲しいと言われました。」

PMP的には、人事のマネジメント上、突っ込みどころが3つあります。
如何ですか?



PMP見解は以下の通りです。
色々なご意見はあると思いますので、宜しければPMP宛お寄せください。

最初の突っ込みどころは・・・
「自宅待機を命じた」と「休業」との関係。
休業とは本来、就労義務の解放となりますが、自宅待機命令がそのまま休業命令となるわけではありません。
例外として、社員がコロナに感染した場合は、都道府県知事が行う就業制限による休業となります(使用者は休業手当の支払い義務もありません)。また緊急事態宣言を受けて事業を休止した場合も当然休業扱いとなります。

二つ目の突っ込みどころは、休業命令を出した後の年次有給休暇の申請(事後申請)の対応です。
有給休暇とは労働日における就業免除を求める労働者の権利ですが、休業がすでに成立していれば、その日は労働日ではないため、有給休暇の申請を当然に行う事はできません。これが法的整理です。
もっとも、休業手当額と年休の“有給”の金額差を考えれば、法的整理を振りかざすよりも、これを認める取り扱いがマネジメント上では妥当だと思います。
緊急対応だからこそ、弾力的な取り扱いを労使間でよく協議し、そのような取り扱いを社員に丁寧に周知する事が大切であるように思います。

最後の突っ込みどころは、この会社の就業規則の休業手当です。労働基準法第26条の「少なくとも6割以上」の定めとは別に、民法上の権利、すなわち賃金100%の支給を求める労働者の権利の問題は未解決のままです。
意地悪言えば、多くの会社の就業規則には、会社都合の休業の際に、「賃金60%を休業手当として支給する」という定めはあるものの、「なぜ40%は支給されないのか」という説明はありません。
もっとも労基法第26条の“6割”は平均賃金であるため、歩合給などがあるという給与体系など個別の事情によっては、年休休業手当という事例もあり得ますが・・・

以 上