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2022.03.30
- 労働行政の動向
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コロナが直撃する雇用保険財政 – 4月1日からの雇用保険法の改正

3月25日付 PMP News「4月1日から変更される厚労省関連の諸制度」で、後日詳細とお約束したうちの、雇用保険法関連の情報です。
4月1日からの雇用保険法改正の概要は以下の通りです(なお、一部7月1日、10月1日からの施行が含まれています)。

1.雇用保険料率の引き上げ
① 一般の事業の雇用保険料率は平成29年から9/1000、3/1000が労働者負担、事業主負担は 6/1000となっています。
内訳をみると、失業給付等の一般事業 2/1000(労使折半)、育児休業給付4/1000(労使折半)、雇用保険二事業 3/1000(使用者のみ負担)となっています。 注:雇用保険二事業とは、企業向け各種助成金(雇用安定事業)と職業訓練などの能力開発事業のこと。
② まず、4月から企業のみが負担する雇用保険二事業の保険料率が3/1000から3.5/1000に引き上がり、雇用保険料率は9/1000から9.5/1000になります。
③ さらに10月からは失業給付等の一般事業向け保険料率が2/1000から6/1000に引き上がり、雇用保険料率は13.5/1000になります。
従業員負担も育児休業給付を含めて3/1000から5/1000に引き上がり、企業負担は4月に0.5/1000、10月にはさらに2/1000引き上げられ8.5/1000となります。
2.雇用調整助成金負担
雇用保険料率引き上げの原因はコロナ禍の雇用調整助成金と言えます。雇用調整助成金の支給累計はコロナ禍の2年間で5兆円になり、雇用保険の積立金から2兆6千億円を拠出しています。
ピーク時6兆3千億円(平成28年度)あった積立金残高は育児休業給付金増により減少傾向が見られ、加えて一昨年からのコロナ禍による追い打ちとなったものです。2022年度予算では積立金残高は0.05兆円の見込みと激減。
3.その他
① 給付面では以下を充実する。
■ 雇止め離職者、雇用情勢の悪い地域の求職者への基本手当の給付日数の拡充措置の延長(R3年度まで⇒R6年度まで)
■ 長期的キャリア形成に資する講座(専門実践教育訓練)を受講する45歳未満の離職者に対する訓練期間中の失業給付相当額の支援(教育訓練支援給付金)の延長(R3年度まで⇒R6年度まで)
■ コロナの影響による離職者の基本手当の給付日数拡充措置の対象期間の設定(緊急事態宣言ごとに緊急事態措置解除から1年経過後まで)
■ 雇用保険に一定期間加入後に離職して起業する者が廃業した場合に基本手当を受給しやすくする仕組みの新設
■ 失業給付の受給者が求職者支援制度に基づく訓練を受ける場合を給付日数の拡充・通所手当等の対象とする
②労働市場の整備としては
■ 求職活動におけるインターネットの利用が拡大する中、就職・転職の主要なツールとなっている求人メディア等の幅広い雇用仲介事業を法的に位置づけ、ハローワーク等との相互の協力の対象に含めるとともに、安心してサービスを利用できる環境とするため、求人メディア等が依拠すべきルールを明確にする。
具体的には
求人メディア以外にも、職業安定法に規定のない多様なサービスが登場しており、新たな形態のサービスも含まれるよう「募集情報等提供」の定義を拡大。あわせて求職者情報を収集して募集情報等提供事業を行う者を届出制、事業概況の報告により把握する。官民連携の主体として位置づけ、相互協力を規定する。
募集情報等提供について、現行「指針」でルールを規定しており、トラブルがあっても行政処分の対象とはならない点を考慮して、募集情報等提供事業者について、① 募集情報等について的確表示(虚偽又は誤解を生じさせる表示を禁止し、最新かつ正確な内容に保つための措置を講じること)を義務付け。② 迅速・適切な苦情処理を義務付け。③ 個人情報の保護や秘密保持を義務付け。④ 法令違反に対する改善命令等を可能とする。 との事です。
また、デジタル化(DX)等の急速な進展や、非正規雇用労働者のキャリアアップ等の課題に対応するため、① 職業訓練に地域のニーズを適切に反映すること等により、効果的な人材育成につなげるため、訓練コースの設定や検証等について関係者間で協議する都道府県単位の協議会の仕組みを設ける。② キャリアコンサルティングの推進に係る事業主・国等の責務規定を整備する。との事です。
以 上
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