熱中症対策、6月1日から業種を問わず全ての企業に措置義務 – 熱中症対策その3

熱中症対策、6月1日から業種を問わず全ての企業に措置義務 – 熱中症対策その3

PMP Newsでは5月12日・15日と2回に分けて、6月1日から施行される改正労働安全衛生規則が定める職場における熱中症対策についてご案内をしています。
5月20日、厚生労働省より「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」 (基発0520第6号)という通達が公表されましたので、お知らせいたします。

なお、この熱中症対策、一部では、暑熱の建設現場等特定の就労環境に限られ、全員空調も万全の快適なオフィス空間で就労するわが社では関係がないと思い込んでいる企業もあるようですが、今回の通達でも、適用除外の事例などの言及は一切なく、改めて確認した所轄労基署担当者も全ての企業に課される措置義務との見解でした。さらに「必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく、出張先で作業を行う場合、労働者が移動して複数の場所で作業を行う場合や、作業場所から作業場所への移動時等も含む」とされており、PMP内でも、オフィスワーカー中心の職場でも営業等外出の多い職種もある、その意味でもこの機会に全企業が熱中症対策の検討を行うべき との結論となっています。
さらに本通達では、非定常作業、臨時の作業も対象となり、「熱中症を生ずるおそれのある作業に該当しない場合であっても、作業強度や着衣の状況によっては、熱中症のリスクが高まることから、事業者は、改正省令に準じた対応を行うよう努めること。」ともされています。

衛生委員会等なども活用され、各社とも、早期発見のための報告体制を予め整備し、防止のための措置の実施手順書を作成し 社員を含む関係者への周知 といった法が定める措置義務を全うしていただきたいと思います。

熱中症対策の全体像は、以下のPMP Newsをご参照ください。
5月12日:6月1日から熱中症対策が義務化されます
5月15日:(続報)労働安全衛生規則改正により6月から企業に義務化される熱中症対策に違反した場合の罰則 – 熱中症対策 その2

さて、通達を参照して、改めて各企業に注意を喚起したい点を以下の通り列挙します。
以下、文中での太字表記はPMPによるものとなります。

まず、報告体制の整備ですが、通達では以下の事例が紹介されています。

通達から補則すれば以下のようなポイントが挙げられます。

  1. 作業場の責任者等の連絡先・連絡方法を定め、明示する。作業を行っている間、随時報告を受けることができる状態を保つことが含まれる。
  2. 推奨される方法としては、責任者・労働者双方向での定期連絡やこれらの措置の組合せなどが挙げられる
  3. 「周知」方法には、事業場の見やすい箇所への掲示、メール の送付、文書の配布のほか、朝礼における伝達等口頭によることがあり、原則いずれでも差し支えない。

次に手順書の作成ですが、①の体制の整備も含めたチャート図例は以下となります。通達の「手順例②」ですが、より詳細な「手順例①」も通達には示されていますので関心ある方は こちら のP9 をご参照ください。

筆者の関心を惹いたのは「熱中症については、帰宅後も含め、時間が経ってから症状が悪化することがある。(略)体調急変等により症状が悪化する場合は、直ちに医療機関を受診する必要があるため、その旨を回復後の作業者に十分理解させるとともに、体調急変時の連絡体制や対応をあらかじめ定めておく」という箇所。
このあたりも衛生委員会等で議論して頂きたいと思います。

最後に、高温多湿作業場所を抱える各企業は、同じく5月20日付け改正通達として厚生労働省より「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」(基発0520第7号)が発表されています。作業環境管理や日常を含む対象労働者の健康管理などの記載があります。こちら のP11以降もご参照ください。

以    上