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2025.04.25
- 労働行政の動向
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外国人社員の定期健康診断問題 – 労働安全衛生法 健康診断

労働安全衛生法第66条には、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、 医師による健康診断を行なわなければならない。」という定めが有ります。省令が定める主な健康診断は、雇入れ時の健康診断と年1回の定期健康診断となっています。
今回は “会社の定期健康診断を嫌がる外国人社員が多い” 問題を採り上げます。結論を先取りすれば、これまでも折に触れ申し上げている様に、Complianceで思考停止しては本当の問題解決にはならないということになるかと思います。
もっとも外国人社員でも、最近増えているベトナムを筆頭に、タイ、韓国などアジア諸国の外国人社員には抵抗なく会社の健診は受け入れられている様です。アジア諸国の労働法は、日本の労働法を参考にしているという事情もあるため、概ね企業に社員への年1回(韓国の事務職は2年に1回)の定期健康診断を義務付けており、健診結果も企業宛に知らせる仕組みとなっています。
問題は欧米諸国。彼らにとっては、それまでの経験で培ってきた 常識と労働安全衛生法の定めは根底から異なって見えます。
厳密に言えばそれぞれの国での労働法での細かい違いはありますが、ほぼ共通する点について纏めてみました。
欧米では、特定の有害物質を取り扱う職種や業務に対してのみ、例外的に企業に対して社員への定期的な健康診断を義務付けています。それ以外の大半の職種に対しては企業にそのような法的義務は一切ありません。健診が義務付けられる事例でも健診結果は労働者本人に知らされ、企業はその労働者からの同意がない限りは健診結果にアクセスすることはできません。
もっとも、企業による健康診断、実際には、欧米の多くの企業が労働法に定めがなくとも導入しています。福利厚生の一つとして捉えられており、一方で社員の健康確保は企業にとっても事業活動を支障なく円滑に営む上で重要だという認識から実施されています。
その意味では欧米企業の社員も企業が定期的に健診を行うことまでは常識の範囲内です。
彼らが驚くのは、健診結果が彼らにではなく企業に知らされる点です。重大な個人のプライバシーの侵害であると捉えてしまいます。
よく観察されるケースは人事からの定期健康診断の案内に対しては、最初は無視、人事から受診を催促されるとそれを拒絶します。そこで問題が表面化しますが、最初人事は、単にレスポンスが遅いだけと簡単に片づけ、次はあまりにも強い拒絶姿勢を初めて認識して困惑します。
多くのケースで人事は、“労働安全衛生法違反” “就業規則違反” を理由に従うように命令し、これに従わないと懲戒処分も辞せず、とエスカレートします。
労働安全衛生法第66条の3「健康診断の結果は、(企業が)健康診断個人票を作成し、それぞれの健康診断によって定められた期間、保存」、第66条の6「健康診断結果は、(企業が)労働者に通知」とあります。人事の考え方は法に則したものであるといえますが、一方で人事の一連の行動は、プライバシーを最重要視する外国人社員にとっては受け入れがたいという結果となります。
Complianceで思考停止せず、そもそも企業が社員に対し定期的に健康診断を実施する目的は何かを改めて考えてみましょう。
法の定めが有るから実施しているのですか?法の定めが無ければ、欧米企業のように社員への福利厚生として実施することはありませんか?
定期健康診断も、企業がもっとも大事にすべきは社員の健康確保だと思い定めれば、まずは如何に実施するかを最優先としましょう。
ここからは筆者の個人的見解です。
健診問題で最優先すべきは、会社としての健診実施率の100%達成とします。労働安全衛生法や就業規則から外れた健康診断もとりあえずは認めます。
Complianceも人事には大事なので労働安全衛生法に則した健診の実施率も把握し、これは所轄労基署に報告しましす。報告書備考欄には、健診結果を本人のみへの通知とする社員数やその率などを記載しておきましょう。
同時に、法から外れる健診の外国人社員には産業医の面談を行い、彼らの健康保全のために企業として注意すべき事象があるかを確認させます。
必要に応じて産業医から、“自分から自分の健康について人事に相談に行く” か、または “了解を得て産業医が人事に相談する” かを選択させます。
こんなプロセス管理はいかがですか?面倒ですか?
多様な働き方とは、人事が社員一人一人と向き合い、それぞれにとってもっとも働きやすい就労環境を整えることで実現するものだと思います。
法の定め、就業規則の定めで思考停止せず、Complianceで思考停止せず、企業として何をなすべきかという発想が、本件についても求められているように思います。
以 上
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