雇用調整助成金(特例) 申請要領 新型コロナウイルス対応 #20

雇用調整助成金(特例) 申請要領 新型コロナウイルス対応 #20

新型コロナウイルスの影響のもとで、業況の悪化に直面しながらも何とか休業により雇用だけでも維持すべく頑張る企業には、雇用調整助成金(特例)の活用を強くお勧めします。

雇用調整助成金自体は従来よりあったものですが、実際の活用事例は極めて稀な助成金であったとの記憶があります。この珍しい助成金が今回突然脚光を浴びる事になりました。一方で、行政窓口には手続きが殺到しており、東京・神奈川あたりでは問合せなどには殆ど応じられないのが実情です。
ようやく、厚労省より、雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)が改定され、その末尾に申請のための具体的な記載例が添付されましたので、ご案内します。申請事務手続きはこれで進められると思います。
具体的には以下をご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/content/000623230.pdf

なお、雇用調整助成金(特例)の概要は、4月13日PMP News Letterで発信済です。この内容は PMPのHP https://www.pmp.co.jp/pmpnews/ 「新型コロナウイルス対応 #17 厚労省企業向情報Up Date (4月13日付) – 雇用調整助成金、申請手続きが一段と簡略化」をご参照ください。

これまでのガイドブックからの修正点(行政は修正するという説明を一切加えず、Silent “Upgrade”をする事が良くあります。このガイドブックも何の説明もなく黙って静かに修正が加えられています。)について簡単にご説明します。

修正点1: ガイドブック(P4)
クーリング期間は今回の特例(4月1日から6月30日まで)では適用外であるが、これに1月24日以降の休業も同様の扱いとなる事を明記している。

修正点2: ガイドブック(P8)
計画届の提出の際の休業の労使協定書は初回の提出のみで良いとされているが、協定失効の場合は再提出する旨が付記された。

関連して、PMPが注目する雇用調整助成金の注意事項をいくつか掲げておきます。

1.労使協定は計画届の際の提出書類ですが、計画届の事後提出が認められていますので、緊急対応である事を勘案すれば、協定で定めるべき主要事項の、対象者、休業期間、休業日(あるいは休業パターン)と休業手当を定めて社内に周知し、速やかに休業を実施する事が肝要だと思います。

2.助成金の申請は1か月単位(要は休業を2か月実施した場合は、2枚申請する必要があります)となります。したがって助成金を受けるための休業規模(大企業は3.3、中小企業は2.5)を毎月クリアする必要があると思います。休業開始はできれば月初のように早くと言う事です。
注:休業規模は、その月の休業延日数/対象労働者の月間所定労働日数総数 (%)となります。

3.雇用調整助成金の助成額は、社員一人一人の休業手当の9/10(解雇無しの中小企業の助成率)とか3/4(同様、大企業)ではなく、

(1) 平均賃金額 = 前年度雇用保険算定基礎の賃金総額 ÷ (前年度の月平均被保険者数 × 前年度所定労働日数)

(2) 休業手当等の支払い率(労使協定等で決定)

(3) 助成金助成額算定のための基準賃金額 = (1) × (2)

(4) 一人当たりの助成単価 = (3) × 助成率(9/10 あるいは3/4)

企業が受給できる助成金額 = (4) × 月間休業等延日数 となります。

4.上記3.でお分かりの通り、雇用調整助成金の算定に際しては、所定労働日数が使用されます。
皆さんよくご存じの労基法第26条で定める6割以上の休業手当の計算、

休業手当 = 過去3か月の賃金総額 ÷ 過去3か月の総暦日数 × 6割 × 休業日数 

という計算式とは全く関係はありません。その点を混同しないでください。

以 上