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2020.10.05
- 労働行政の動向
新型コロナウイルスが与えた労働市場への影響その4 – 2020年8月速報から

10月になっても新型コロナウイルスの感染状況は神経質な山谷を繰りかえしています。
最新の総務省のデータから、新型コロナウイルスが労働市場に与えた影響を調べました。

まず、目につくのが休業者数の改善状況です。緊急事態宣言が発出された4月に突出した休業者も5月・6月と急激に減少を示し、7月・8月ではほぼコロナ前に戻ったようです。
休業といえば、企業が休業を命じる社員に支払う休業手当。この手当の負担を国が支援する雇用調整助成金も色々ありましたね。当初は申請書類が複雑で手続きも、休業計画申請 ➡ 承認 ➡ 助成金申請 と煩雑。頑張って多くの書類を作成しやっと申請してもいつ国から企業宛に助成金が支払われるのかの目途もたたないという状況でした。“助成”金ではなく当分我慢しなければならない“自制”金だという笑えないJokeも聞かれました。
速やかな処理を実現するための電子申請も開始日の5月20日にすぐにシステムダウン、頑張ってシステムを再稼働した6月5日その日にまたダウンと続き、その後8月下旬にひっそりとシステム処理が動き出しました。今は申請から実際の企業への振り込みまで1か月程度、厚労省は2週間を目指すと今でも頑張っています。
上記の休業者数の推移をみると、雇用調整助成金、緊急事態宣言が発出されロックダウンというような事態が起きない限りは、その役目も終えつつあるようにも思えます。
心配は、失業者の推移です。
ご存じの通り、日本は解雇不自由な国です。欧米や中国などと違い、日本では社員のクビを簡単に切ることができません。その日本の失業者数がジワジワと上がっています。

就業者数は5か月連続して減少しており、一方で完全失業者数は7か月(これはコロナ前からという事になります)連続して増加しています。8月の失業率は3.0%。失業率が3%台になるのは2017年5月以来の事です。2020年は新型コロナウイルスの影響で4-6月は急激な景気の落ち込みとなりました。7月以降、休業者の大幅減にみられる企業活動の再開もあり、経済は動き出しましたが、コロナ前までの回復には至りません。コロナにより非常に大きな打撃を受けた業界の体力のない企業あたりから、人員減を余儀なくされる企業が出現しだしているように思います。
下のグラフは、新型コロナウイルス感染症に起因する解雇等見込みの事業者数と労働者数の厚生労働省調べです。増加を抑え込むまでには至らず。まだ続きそうです。

東京商工リサーチは2020年1-8月を昨年同時期と比較して、倒産件数はほぼ横ばいだが、休廃業件数が大幅に増加しているという調査結果を発表しています。

一方で、経済産業省は、8月を“生産は持ち直している”、“今月は生産、出荷は上昇、在庫、在庫率は低下であったが、製造工業生産予測調査によると、9月、10月ともに上昇を予測している”と評価し、“総じてみれば、生産は持ち直している。”と結論付けています。
この見通し通りに経済が動くことを祈るばかりです。
以 上
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