厚生労働省内での “女活” の議論

2022年4月より101人以上の企業に義務付けられている女性活躍のための行動計画に関連して、厚生労働省では、男女の賃金格差と女性管理職比率の公表についての議論が進んでいます。PMPでは、現在の議論の状況を簡単にご案内します。
まず、男女の賃金差の公表については以下の修正(追加)案が議論されています。(注:太字はPMPによるもの)
「その際、男女の賃金の額の差異については、指標の大小それ自体のみに着目するのではなく、要因及び課題の分析を行い、改善に向けて取り組んでいくことが重要である。このため、事業主が、男女の賃金の額の差異に係る共通の計算方法で算出した数値を公表するに当たっては、単に数値の情報を公表するだけでなく、要因及び課題の分析の結果等のより詳細な情報や補足的な情報を公表することも可能であり、事業主はこのような追加的な情報公表を行うことが望ましい。」
次に、女性の管理職比率の公表については以下の修正(追加)案が議論されています。(注:太字はPMPによるもの)
「管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合については、常時雇用する労働者の数が100人を超える事業主に対して一律に公表が義務付けられているものであり、より求職者の企業選択に資するよう、比較可能な実績を公表することが重要である。このため、当該項目については、その実績を、厚生労働省雇用環境・均等局長が定める方法(以下『管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合法』という。)によって算出し、公表するものとする。」
「その際、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合については、指標の大小それ自体のみに着目するのではなく、要因及び課題の分析を行い、改善に向けて取り組んでいくことが重要である。このため、事業主が、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合に係る共通の計算方法で算出した数値を公表するに当たっては、単に数値の情報を公表するだけでなく、要因及び課題の分析の結果等のより詳細な情報や補足的な情報を公表することも可能であり、事業主はこのような追加的な情報公表を行うことが望ましい。」
なお、女性管理職比率に係る追加的な情報公表を行うに際しては、新たに「説明欄」を設けた上でその公表を行うことが可能である旨を示すとともに、「説明欄」に記載することが望ましい例として以下を示すとしています。その際、
・ 記載が煩瑣にならないような記載方法も示す。
・ 男女別管理職登用比率を参考値として記載すること
・ 「管理職」の定義に沿うものである旨及び実際に計上している各企業の役職名を明記すること
さらに女性の活躍推進及び行動計画策定に向けた手順の中に、新たに職場における女性の健康上の特性に係る取組が行われることが望ましいことを示す案が提示。
具体的には、行動計画の策定(4) 取組内容の選定・実施時期の決定の中の行動計画に「また、男女の性差を踏まえ、特に職場における女性の健康上の特性に係る取組が行われることが望ましい。一方、健康に関してはプライバシー保護が特に求められることも踏まえる必要があることに留意が必要である。なお、性別を問わず使い易い特別休暇制度の整備及び職場全体の働き方改革等、女性だけでなく労働者全体を対象として取り組むことも有効である。」を追加する。
さらに、具体的な事例としては、
○ 職場におけるヘルスリテラシー向上のための取組
・女性の健康上の特性に関する研修会の開催
・婦人科検診の受診の重要性を含めた、健康課題に関する啓発冊子の配布や動画の配信等○休暇制度の充実・柔軟な働き方の実現
・生理休暇を取得しやすい環境の整備
・女性の健康上の特性に配慮した休暇制度の整備(不調時の休養、治療・通院、検診等の多様な目的で利用することができる休暇制度等)
・女性の健康上の特性に配慮した柔軟な働き方を可能とする制度の整備(所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワーク等)
○ 健康課題を相談しやすい体制づくり
・女性の健康上の特性について相談及び対応可能な体制構築(産業医、カウンセラーの配置や外部の相談先の紹介、オンラインによる健康相談)
・女性が気軽に利用・相談できるオンラインによる相互交流の場の設置
○ その他の取組・婦人科検診の受診に対する支援
・妊婦等が利用できる休憩スペースの設置
が挙げられています。
これらについての厚生労働省内の議論の動向についても、これからもPMPでは順次お知らせします。
各社におかれては、法を超える人事内の仕組みを構築する際の参考情報としてご活用ください。良かれと思い法を超える人事の仕組みを導入し、後から決まった法律の仕組みと既に導入済の自社の仕組みとの整合性に悩む事例も散見されます。
最近の労働法があまりにも細部までガチガチに定め、企業が自社の裁量で弾力的に対応することを許さないところに問題があるように思います。しかしながら、企業経営に際しては、そのような立法・行政の“現実”も踏まえ、“賢い経営手腕” を発揮して頂き乗り切ることも大切であるように思います。
PMP Newsはそんな観点からもお役立てください。
以 上