PMP Premium News
2019.07.12
- 労働法改正
賃金等債権の消滅時効の見直し

改正民法が2020年4月から施行され、時効についても「権利を行使することができる時」(客観的起算点)から10年、または、「権利を行使することができることを知った時」(主観的起算点)から5年という二重の時効期間に変更され、そのいずれかに該当すれば時効期間が経過したことになると、変更されます。
これに伴い、現行の労働基準法第115条「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によって消滅する。」という条項、特に短期労働債権の2年と言う消滅時効の見直しが厚労省の労働政策審議会で行われています。
労基法の改正が決定するのはまだまだ先ですが、審議会の検討の状況をお知らせいたします。私見ながら審議の方向はおおむね妥当だと思います。後は、本番の国会の論戦で、厚労省の事務方の資料の不手際やたまたまその時期の与党側の国会運営の失点から野党の重箱の隅をつつくような修正により体系の整合性が歪められない事を期待します。
肝心の審議の方向としては、原則的な考え方は「消滅時効期間を延長することにより、企業の適正な労務管理が促進される可能性等を踏まえると、将来にわたり消滅時効期間を2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要ではないかと考えられる。」というもので、2年間の消滅時効の見直しの方向である事は間違いないようです。とは言え、賃金債権の消滅時効が2年から5年に延長されると、残業代未払い問題などが生じた場合の企業の負担は現状に比べるとかなり大きくなります。この点での議論が今後も続けられるようです。
一方で有給休暇の消滅時効については、「繰越期間を長くした場合、年次有給休暇の取得率の向上という政策の方向性に逆行するおそれがあることから、必ずしも賃金請求権と同様の取扱いを行う必要性がないとの考え方でおおむね意見の一致がみられた」由。また災害補償の消滅時効については見直すとすれば労基法に加えて、労働保険や社会保険各法の見直しも必要となるという認識のようです。
何れにしろ、労務マネジメントの観点からは重要な法改正ですので、引き続きその動向を注視して参ります。
関連記事(同一カテゴリの最新記事)
-

-
2026.09.04
- 労働法改正
- 実務シリーズ
10月1日以降の有期雇用者用の雇用契約書 ‐ 厚生労働省からの発表
すでに 7月17日付 PMP Premium News 「同一労働・同一賃金関連 パートタイム・有期雇用労働者に関するルールの変更が2026年10月1日から施行されます。」でご案内…
-

-
2026.09.01
- 労働法改正
- 実務シリーズ
10月1日からのカスハラ・求職者等セクハラを含んだハラスメント防止規定(簡易版)
厚生労働省から、10月1日から新たに施行されるカスハラ、求職者等セクハラもカバーした、ハラスメント防止規定案が発表されました。これまでも、PMP Premium News等でお話を…
-

-
2026.08.27
- 労働法改正
- 実務シリーズ
12月1日から施行される改正公益通報者保護法について
詳細は 公益通報者保護制度 Q&A 令和8年5月 29 日時点 - 12月1日からの改正法対応の Q&A となっています。PMP Premium Newsでは読者を人事労務…
-

-
2026.07.17
- 労働法改正
- 実務シリーズ
同一労働・同一賃金関連 パートタイム・有期雇用労働者に関するルールの変更が2026年10月1日から施行されます。
同一労働同一賃金関連で、パートタイム・有期雇用労働法施行規則が改正され、これに伴い新しい告示も発せられました。全体像は、厚生労働省が取り纏めた 以下の2ページの資料 になります。 …
-

-
2026.07.16
- 労働法改正
- 実務シリーズ
8月1日から、産業医の辞任等に関する報告が義務化
これまで、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、産業医を選任した場合、その旨を報告する必要があるとされていましたが、この規定が改正され、令和8年8月1日以降、選任の場合に加え、…
Pick Up News
-

-
2026.09.04
- 労働法改正
- 実務シリーズ
10月1日以降の有期雇用者用の雇用契約書 ‐ 厚生労働省からの発表
-

-
2026.09.01
- 労働法改正
- 実務シリーズ
10月1日からのカスハラ・求職者等セクハラを含んだハラスメント防止規定(簡易版)
-

-
2026.08.26
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
厚生労働省 時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導の見直し
-

-
2026.07.17
- 労働法改正
- 実務シリーズ
同一労働・同一賃金関連 パートタイム・有期雇用労働者に関するルールの変更が2026年10月1日から施行されます。
-

-
2026.06.08
- 労働法改正
- 実務シリーズ
ハラスメント、今注意すべき事項 その4 – 厚生労働省発表カスハラ等のQ&Aからの抜粋