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2018.03.21
- 労働法改正
有期契約労働者の無期転換について

ご高承の通り、先の労働契約法改正により、同一の使用者との間で2以上の有期雇用契約の通算雇用期間が5年を超える有期契約労働者に与えられる無期転換の申し込みについては、契約が1年契約の更新である場合には、最短で2018年4月1日に申込権が発生するため、それまでに準備対応が必要となります。(無期の転換はこの有期雇用契約が満了する翌日からとなります。)
PMP主催の2013年の改正法施行直前セミナーでは、「今後は有期雇用は原則として5年を超えない」という企業が多かったのですが、ここへきて、現場からの継続雇用希望の声を受けてか、一部の有期雇用契約社員については無期転換やむを得ないと判断される企業が増えてきているように思えます。
そこで簡単に無期転換関連のポイントを整理します。
1. 無期転換を避ける場合は、通算雇用期間5年到来の前に雇止めのプロセスを開始します。この場合、遅くとも最後の有期雇用契約の更新の際、「これは最終契約であり、更新はしない」旨の文言を付記する必要があります。有期雇用期間が1年の場合は、今月3月末までに更新する有期雇用契約が最終契約となります。ただし、次回更新への期待権保護の法理との関係にも十分に注意をしてください。既に相手に次期契約更新の合理的期待が生じている場合は、まずは早めに当該契約労働者との話し合いを持つことをお勧めします。更新限度を設ける経営
上の必要性を十分に説明して本人の納得と同意を得る等、雇止めが無効とならないよう工夫をする必要があります。
2.無期転換する場合は、自動的に正社員とはせず、無期契約社員とし、別途無期契約社員就業規則の作成をお勧めします。また無期転換した契約社員が正社員となる場合は、改めて正社員登用制度を経るというステップを踏むこともお勧めします。(有期契約社員の方の中には、無期転換=正社員になると誤解しているケースもあるようなので、個々の対象者には適切な説明が必要です。また、無期となっても、労働条件は直前の有期労働契約と同一で構いません。)
3.無期契約労働者について社内で是非検討頂きたいのは雇用保障についてです。契約社員は正社員と異なり、職務あるいは勤務地限定、労働日・労働時間が限定される場合も考えられます。
その際にご留意頂きたいのは、日本では変更解約告知が認められてはおらず(今後、これについては日本でもなぜ認められないのかという議論をすべきと筆者は考えます)、職務や勤務地等の限定の解除に応じない事を理由とする解雇は労働契約法第16条から解雇権濫用とみなされるリスクがあるという点です。しかしながら、整理解雇のような局面では、無期契約労働者は正社員に比べていわゆる解雇回避努力義務の程度が異なることも実際にはあり得ます。
このあたりを十分配慮しながら、正社員とは異なる内容の就業規則や雇用契約書を工夫すべきです。
4.昨今の同一労働同一賃金は、有期契約労働者と正社員間の処遇格差の問題であり(労働契約法第20条)は無期契約労働者はこの議論の対象ではありません。
無期契約労働者の同一労働同一賃金問題は、ケースごとの今後の司法判断を待つことになります。有期契約労働者の同一労働同一賃金については昨年暮れ内閣府よりガイドラインが発表されました。法改正はこれからですし、このガイドラインも現時点では何の強制力も持ちません。もっとも実務上では無期契約労働者の処遇条件は、転換以前の有期契約労働者としての処遇と密接な関連を持つため、将来の改正労契法(同一労働同一賃金原則)により、各社が有期契約労働者の処遇条件を見直すとなれば、結果的には無期契約労働者の処遇条件にも影響があるでしょう。この点も念頭に置いていただきたい。
5.最後に、定年後再雇用している有期契約労働者(および年収1075万円以上の高度専門職)については、有期雇用特別措置法に基づき、第2種認定事業主(高度専門職は第1種)としての認定を受けておくことを勧めします。会社によって再雇用期限を65歳の誕生日を含む会計年度末とするケースがありこの場合通算雇用期間が5年を超えることもあります。5年経過後も無期転換権を発生させず、引き続き有期雇用とする場合には必要な手続きとなります。
認定手続き未済の各社は、そろそろこちらも進めて頂きたい。
なお、PMPでは無期転換社員用就業規則や雇用契約書の作成、有期雇用特別措置法の第1種/第2種認定手続きのお手伝いをしています。関心のある方はお気軽にPMPにご連絡ください)
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