PMP Premium News
2020.12.17
- 労働行政の動向
身体障碍者 法定雇用率が、来年3月からさらに引きあがります!

注:一般に使われる“障害者”や行政が使う“障がい者”ではなく、“障碍者と”記します。
来年の3月1日から身体障碍者の法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上がります。
当初は来年の1月1日から引きあがる予定でしたが、新型コロナウイルスの企業への影響を勘案、実施時期を2か月後ろ倒しにしたとの事です。
今までは45.5人に一人の身体障碍者の雇用が義務付けられていたのが、3月以降は43.5人に一人の割合に変更され、さらに規模の小さい企業も障碍者雇用をしなければならないという変更です。
ご存知の通り障碍者雇用納付金という制度があります。ペナルティーと呼ぶと担当行政から叱られますが、常用労働者100人以上の企業は不足している雇用障碍者数1人につき毎月50,000円を国に納付する必要があります。また、障碍者の雇用状況はハローワークへの毎年の定期報告が義務付けられており、怠ると30万円の罰金、また雇用状況が改善しない場合は企業名公表の可能性もありますね。
PMPでは、身障者雇用に際して、現場の労務管理の難しさについて、様々なご相談を受けています。PMPの経験を振り返ると、大手企業に比べて社員数の少ない中堅規模の企業ほど、身障者の雇用の促進は中々進まないようです。
障碍者を積極的に受け入れたいと考えている経営者は、中小規模の企業にも沢山います。しかしながら、実際に障碍者の採用が進むにつれて、車椅子利用者向けにオフィス内をバリアフリー仕様に変更しなければならないというように、就労環境を障碍者の障碍の程度に応じてきめ細かく整備する必要や、毎日の障碍者の就労支援のための社内バックアップ体制が必要となるという現実的な問題に直面すると、障碍者雇用に向かう姿勢が徐々に後ろ向きになってきてしまいます。
例えば、令和5年3月末まで特例扱いが認められている精神障碍者の雇用についてみると、成功事例では障碍者5人に対して1人の社員をつけるという体制を組んでいます。これが実現できるのも、社員数の多い、大手企業だからであると考えています。車椅子利用の社員を雇いたいと考えても、社内のバリアフリー仕様への変更の費用を考えれば、一人二人程度の身障者雇用のニーズであれば経営者が二の足を踏む事は否定できません。
新型コロナウイルスの感染拡大予防の目的で、今年一気に導入が広がった在宅勤務の仕組みは、①通勤負担から解放される事、②さらにスーパーフレックスタイム制を組み合わせる事 で都度の体調面にも合わせた就労が可能となる事を考えると、障碍者雇用の促進にも役立つはずです。
PMPの親しいお客様では、障碍者専用のサテライトオフィスを設けて、そこで障碍者の皆さんが一緒に働いています。
「以前は、自宅からオフィスまで定時に通勤し、社員の皆さんに交じって仕事していました。周囲が私に気を使っている事がわかりますし、私も毎日、周囲に気を使っていました。」「ここ(サテライトオフィス)では皆、一緒です。気兼ねなく、楽しく働く事が出来ます。」と、就労上の悩みは、仲間同士の雑談の中で解消されてしまうものが多いとの事でした。
先日、PMPが納品したのは、アーティストの障碍者社員の就労の仕組み作りでした。第1号アーティスト社員は切り絵・貼り絵の作家。昨年ニューヨークで個展を開催した実績もある方です。通勤のない在宅勤務、フレックスタイム、残業は原則無しとして、一定期間内に作品を会社に提供する事が求められます。会社は、今後作品を、受付や応接に展示したり、会社のパンフレットなどにも掲載する予定との事でした。
障碍者雇用に取り掛かろうとしても、障碍者向けの仕事がなかなか見つからないという話はよく聞きます。
発想を変えて、異能者を新しく活用するという方向性も模索してみませんか。
以 上
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