PMP Premium News
2021.04.07
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
令和3年度労災事業の運営方針からのPMPコメント

2月22日、厚生労働省より各都道府県労働局長あてに通達「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」(労災発0222第1号)が発信されました。翌年度の労災業務全般の取組方針が示される、毎年この時期に発出される通達です。
今回は、新型コロナウイルス関連等、毎年の通達とは若干異なる内容が盛り込まれていると判断しましたので、PMP News Letterでお知らせします。
新型コロナウイルス感染症関連の昨年度の労災件数は4000件以上!!
人事部各位は労災と言えば、長時間労働や過重労働を原因とする過労死事案に真っ先に関心があると思います。昨年度の過労死等に係る労災請求件数は 2,900 件以上にのぼっています。しかしながら新型コロナウイルス感染症に係る労災請求件数はこれを大きく上回る4,000 件以上となっています。
昨年、厚労省は、「新型コ ロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」(基補発0428第1号)にて
① 医療従事者等は業務外で感染したことが明らかな場合を除き 原則として労災保険給付の対象とする
② 医療従事者以外の労働者については、当分の間、調査 により感染経路が特定されなくとも、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には、労災保険給付の対象とする
との基本方針を決定しています。これに基づき、 新型コロナウイルス感染症に対する労災手続きには“迅速・的確”な対応をするとしています。
医療従事者にはワクチン接種が優先されているとは言え、接種スケジュールの遅れが目立ちます。医療従事者以外となると、ワクチン接種がいつになるかのはっきりとした見通しは立っていません。最近の人流の増加傾向、これに伴う会食機会の増加などの影響を受け、特に対面を必要とする業務に従事する方々を中心に、当面、新型コロナウイルスの労災リスクは続くものと思われます。
過労死等事案では何と言っても労働時間の的確な把握につきます!
労災認定に係る労働時間は、労働基準法第32条で定める労働時間と同義です。使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであるとされています。(太字は筆者)
昨年、在宅勤務は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から導入され一気に拡大しました。直ちに導入する事が最優先となり、在宅勤務者の労働時間を的確に把握するためのシステム装備や、労働時間管理を支える在宅勤務規程など十分な準備をしないまま走り出してしまいました。新型コロナウイルスの感染が止まず、引き続き在宅勤務を継続している企業も多いようですが、在宅勤務者の的確な労働時間の把握を行う体制整備が不十分なままであることも珍しくありません。在宅勤務者の過重労働問題にはくれぐれもご注意ください。
テレワーク中の労災の取扱いは今後注意を要します
テレワークの増加に伴い、通達ではテレワ ーク中に負傷したこと等による労災請求の増加を想定しています。これについては、コロナ前の平成30年2月22日 「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインの策定について」(基発0222第1号・雇均発0222第1号) に基づくとしています。すなわち、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じた災害は、労災補償の対象となるが、その際、私的行為等の業務以外が原因であるものについては労災補償の対象とはならない という原則を示しています。とはいえ、テレワーク、特に在宅勤務のように、使用者の目の届かない場所で就労する場合には、その災害の発生が業務中なのか、業務外の私的行為中であるか の認定は実際には難しい事もあるように思います。
最近話題のワーケーションのような事例などはさらに判断が微妙なケースも出てくるかもしれません。
以 上
関連記事(同一カテゴリの最新記事)
-

-
2026.10.16
- 労働法改正
- 実務シリーズ
カスハラ対応:ハラスメント防止規定の役割と企業内で「顧客」の役割を担う担当者への注意喚起 – 今回のカスハラと求職者等セクハラの問題提起 その2
2026年10月1日からカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)と求職者等に対するセクシャルハラスメントの防止措置が企業に義務付けられました。この法改正を受けて、企業からはハラス…
-

-
2026.10.14
- 労働行政の動向
社会保険料削減ビジネスを行っていると疑われる事業所に対する事業所調査の状況について – 厚生労働省
厚生労働省は、本来国民健康保険・国民年金が適用されるべき個人事業主等を対象に、会費を徴収した上で法人の役員に加入させ、使用関係の実態のないまま社会保険を適用させるサービス(いわゆる…
-

-
2026.10.13
- 労働法改正
- 実務シリーズ
カスハラ対応:顧客の権利は? – 今回のカスハラと求職者等セクハラの問題提起 その1
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の防止措置が企業に義務付けられました。厚生労働省のパンフレットや専門家によるセミナーでも、カスハラから社員をいか…
-

-
2026.10.06
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
106万円の壁は崩れ去りました – 短時間労働者の社会保険適用に関する賃金要件(月額 8.8万円)の廃止
パートタイマーの社会保険の適用基準の一つ、賃金要件が廃止されました。106万円の壁が法的にもなくなったことになりますが、これについてはこれまでの PMP Premium News …
-

-
2026.09.17
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
今年度最低賃金の動向 – 5%割れの上昇率!?
厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和8年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめました。改定額及び発効予定年月日は以下のとお…
Pick Up News
-

-
2026.10.16
- 労働法改正
- 実務シリーズ
カスハラ対応:ハラスメント防止規定の役割と企業内で「顧客」の役割を担う担当者への注意喚起 – 今回のカスハラと求職者等セクハラの問題提起 その2
-

-
2026.10.14
- 労働行政の動向
社会保険料削減ビジネスを行っていると疑われる事業所に対する事業所調査の状況について – 厚生労働省
-

-
2026.10.13
- 労働法改正
- 実務シリーズ
カスハラ対応:顧客の権利は? – 今回のカスハラと求職者等セクハラの問題提起 その1
-

-
2026.10.06
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
106万円の壁は崩れ去りました – 短時間労働者の社会保険適用に関する賃金要件(月額 8.8万円)の廃止
-

-
2026.09.04
- 労働法改正
- 実務シリーズ
10月1日以降の有期雇用者用の雇用契約書 ‐ 厚生労働省からの発表