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2024.12.11
- 労働行政の動向
PMP速報 106万円の壁問題

12月10日の厚生労働省の社会保障審議会年金部会において、社会保険の被保険者資格の線引きラインである106万円の壁について議論されました。
その内容が大きく報道されていますので、厚労省年金部会の資料を参照して、できるだけ正確な情報を発信しようと思いました。なお、以下の内容は、厚労省の年金部会内での議論であり、今後、さらなる議論を経てその内容が一部見直される可能性もあります。
もっとも、年収の壁問題は、国内の大きな問題となっており、今回の社会保険における106万円の壁問題は、昨年来議論され、将来的には撤廃の方向性はすでに打ち出されているとPMPでは解釈しています。そこから推論すれば、今回お届けする内容は概ねこの方向で見直されるであろうとは考えています。
その根拠の一つは最低賃金水準です。東京の最低賃金は1時間当たり 1,163円。今の社会保険被保険者で今後とも継続される要件は、週 20時間の所定労働時間です。かりに1か月を 4.2週間とすれば、1か月当たり 97,692円。すでに今回撤廃する所得要件、1か月 8.8万円をすでに上回っています。実は、部会が激変緩和として時限的に導入を提案している特例措置の上限である月額 12.6万円は、仮に週所定20時間とすれば時給 1,500円、東京都の最低賃金に基づけば週 25時間、1日当たり5時間少しの労働時間となります。要は 106万円の壁を意識して就労調整をしている社員がいるのであれば、経営者側は1日あるいは1週の所定労働時間の抜本的見直し案を携え、家庭と仕事の両立を抱える社員には始業・終業時刻の勤務時間帯のみなし等労働時間・労働日=休日の弾力的な工夫により一人一人の労働時間の調整を図ることをお勧めします。
さらに前提としている週 20時間労働は、週5日勤務とすれば1日4時間。要は、1日8時間、週 40時間のフルタイマーの半分でしかありません。そこで働く方々が、家庭などの事情が許す限りではありますが、もっと長く就労していただくことで今の深刻な人手不足を解消する方向性を打ち出そうとするこの政策は首肯できると思います。
最低賃金の今後の動向を想定すれば、実は、それほど問題なく、この壁は解消されていくのだろうとも思います。
さて厚労省年金部会で12月10日議論された内容を纏めてみましょう。
主要なポイントは以下の通りです。
1.賃金要件に対する見直しの方向性 案
就業調整の基準として意識されていること、 最低賃金の引上げに伴い労働時間要件を満たせば本要件を満たす地域や事業所が増加していることを踏まえ 、 本要件を撤廃することとしてはどうか 。 
賃金要件以外に。現在51人以上の事業所となっている企業規模要件も併せて撤廃の方向性となっています。
賃金要件、企業規模要件の撤廃に際しての進め方も以下のような論点が示されています。

2.部会ではあわせて、“第3号被保険者制度を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応“についても議論がされています。
主要な議論は以下の通りです。
① 「年収の壁」の問題による就労調整が労働力不足を招く事態があるとすれば、就労調整の生じる可能性の高い収入層に限り、労使合意による使用者の負担割合の増加を許容することは特例措置として考えられる。👈 目下この方向性となっています(PMP)
② 但し、目的を明確にした上で、時限措置かつ対象者も限定。負担割合の変更限度も必要。
➡具体的には、特例の対象を外れるまで長く働く場合も含めて保険料負担による手取りの減少をなだらかにする観点から、保険料負担割合を変更できる特例の対象標準報酬月額は12.6万円以下とする案も提示されています。

更には以下のような点も議論されています。
① 本特例の適用を受ける被保険者の負担割合について、
・ 同一の等級に属する者同士で揃えることとしつつ、
・ 等級毎の具体的な割合は、事業所単位で労使合意に基づき任意に設定可能
とする。
② 本特例を利用する事業所において、厚生年金保険料と健康保険料のうちどちらか一方にだけ本特例を適用することや、両方ともに本特例を適用しつつ、負担割合を別々に設定することを可能とする。
③ 健康保険と同じく賞与についても本特例の対象とすることを可能とする。
以 上
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