PMP Premium News
2022.06.29
- 労働法改正
- 実務シリーズ
産後パパ育休規定(2/2) – 10月からの改正育児休業法対応 その2

10月から始まる新しい育児休業の制度である産後パパ育休には、2つの労使協定という課題があります。人事は、この2つの課題を検討し、労使協定を締結するか否かについての経営としての判断を準備する必要があります。
これらについて見ていきましょう。
1.申出期限を「2週間前まで」から「1か月前まで」に延長するための労使協定
子が1歳までの育児休業の申出は1か月前までですが、産後パパ育休は2週間前までの申出となっています。これを1か月前までとするには、産後パパ育休の申出が円滑に行われるようにするための雇用環境整備を措置が前提となり、これを労使協定で定めなければなりません。(法第9条の3第4項)。
具体的には、以下の1~3すべての措置を講じなければなりません。(則第 21 条の7)。
措置の1
以下、イ~ホの5つの選択肢のうち、2つ以上の措置を講じること。
イ その雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施
ロ 育児休業に関する相談体制の整備
ハ その雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及びその雇用する労働者に対す る当該事例の提供
ニ その雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知
ホ 育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又は人員の配置に係る必要な措置
措置の2
育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知すること。
措置の3
育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握 するための取組を行うこと。
上記労使協定の是非は、各企業にてご検討いただきたいと思いますが、PMPは ① 産後パパ育休は出生後8週間以内の4週間までという特別な育児休業であり、政府の取得促進の方針を踏まえれば、申出は1か月前よりは2週間前をお勧めします。② 労使協定 措置の2にある育児休業取得に関する定量的な目標設定は、くるみんマーク取得のためや従業員101人以上規模の企業で2022年4月より義務付けられた女性活躍推進法に対応する一般事業主行動計画ですでに育児休業取得に関する定量目標をお持ちであれば兎も角、この労使協定の為だけに定量目標を新たに設定する事の是非もあらかじめご検討ください。
2.産後パパ育休期間中の就労を認めるための労使協定
労使協定自体は(出生時育児休業中の就業)「第X条 出生時育児休業中の就業を希望する社員は、就業可能日等を申出ることができるものとする。」という一文の挿入で十分です。
問題は、育児休業中の就労という全く新しい制度設計を行わなければならないという点です。
規定化する際には以下の項目をそれぞれ定める必要があります。
① 社員からの休業中の就労希望の申出 ➡ 申出の範囲での会社側の希望就労日・時間の提示(ただし就業日のない旨の通知も可)➡ 社員の同意・不同意の返事を経て、社員・会社の同意形成により初めて就労が可能となります。
② 就業日数の合計は産後パパ育休期間の所定労働日数の半分以下、就業日の労働時間の合計は、産後パパ育休期間の所定労働時間の合計の半分以下となります。
③ 就業前日までは社員から就業日・時間の変更・撤回することができます。なお配偶者(養子などの場合を除き奥さんとなります)やお子さんの負傷・疾病等やむを得ない場合は当日の変更・撤回も認められます。
育休中の就労が認められるという事は、今回の育児休業法改正の大きな変更点ですが、各社のこれまでの反応はマチマチとなっています。
もともと、産後パパ育休に就労を認める事とした背景には、男性の育児休業取得率がOECD諸国に比べると著しく低い日本の原因の一つとして、仕事が気になって育児休業が取得できないというものがありました。
まだまだ男性社員の育児休業と仕事を調整する事が難しいという現実があるとすれば、ここは割り切って労使協定を締結して、いつでも産後パパ育休中の就労が可能な状態は用意しておくものの、会社としては産後パパ育休であっても育児休業中はできるだけ育児に専念して欲しいというメッセージも発信しておけば宜しいと、筆者は基本的には考えています。
この稿の最後に、労使協定とは別ですが、産後パパ育休のこれまでの育児休業と異なる扱いとして、産後パパ育休も2分割取得が可能ですが2回に分割して取得する際にはまとめて申し出ることとされており、まとめて申し出ていない場合には事業主は後からなされた申出を拒むことができる、としています。(法第9条の3第1項ただし書)。ただし、会社の規定として特別に2回に分けての申出を可能としても差し支えはありません。
また産後パパ育休は育児休業と異なり、法令では再度の休業の定めもありません。
なお、PMPでは、これら改正育児休業法に対応した改定育児介護休業規程PMP標準形(労使協定付)も完成しました。ご興味ある方は、PMPまでご照会ください。
以 上
関連記事(同一カテゴリの最新記事)
-

-
2026.03.07
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
シフト制における年次有給休暇
内閣府が主導する第27回規制改革推進会議の中間報告が発表され、その中で人事労務関連では、シフト制の有給休暇についての考え方が、早急に整理されることになります。シフト制については、今…
-

-
2026.03.06
- 労働法改正
- 実務シリーズ
4月から治療と就業の両立支援の “努力義務” (令和8年厚生労働省告示第28号)がスタートします!
昨年の通常国会で労働施策総合推進法が改正され、「事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るた…
-

-
2026.03.04
- 労働法改正
- 実務シリーズ
4月から101人以上の企業は女性管理職比率、101人以上300人までの企業はさらに男女間の賃金差異の公表義務がスタート
女性活躍推進法ではすでに2022年に、女性活躍推進のための一般事業主行動計画策定義務の対象企業を301人以上規模から101人以上の規模に拡大済ですが、この流れに沿う新たな人事関連の…
-

-
2026.02.27
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
2026年賃上げの動向
今年度春闘もいよいよ山場を迎えつつあります。 1月末に、連合と経団連との間で春季労使交渉を巡る諸課題をテーマとした意見交換会がありました。そこでは、2023年、24年、25年と3…
-

-
2026.02.26
- 労働法改正
- 実務シリーズ
4月(給与からの控除は5月)からの、子ども・子育て支援金
少子化対策の抜本的強化として、子育て世帯を支える新しい分かち合い・連帯の仕組みとして、 少子化対策に受益を有する全世代・全経済主体に、医療保険の保険料とあわせて、令和8年度から拠出…
