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2022.10.11
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
2023年4月から賃金のデジタル払いが解禁の予定

労働基準法では、賃金は全額通貨払いの原則が定められています。その上で労基法施行規則において例外として労働者の同意のある場合、労働者の指定する銀行口座への賃金の振り込みが認められています。
注:資金移動業者とは、銀行以外で為替取引を認められている事業者の事です。例えばPayPayなどはその典型です。あわせて給与を直接振り込むペイロールカードの解禁により社員は給与の一部を直接自分のデジタル口座のに入金し、そこからデジタル通貨で買い物等が可能となります。銀行口座の開設に何かと制限のある外国人労働者にも朗報ではないかという声をもあります。 最も昨今の円安で外国人労働者にとっては自国通貨に換算すれば日本で働いてももはや高給取りではなくなったとも言われていますが…(PMP)
厚生労働省は省令を改正し、来年4月から賃金のデジタル払い - 資金移動業者の口座への賃金支払い - を一定の要件の下で認めることとする予定で、目下改正省令案についてのパブリックコメントを求めています。意見募集締め切り後に、厚労省は労働政策審議会に諮問する予定となっています。
これを審議している労働政策審議会労働条件分科会の資料からいくつか抜粋してみました。
まず、資金移動業者の2015年から2020年の送金件数、取扱額の推移等を以下に示しましょう。

賃金のデジタル払いについての労働者の希望を調査したインターネットアンケート結果は以下の通りとなります。

省令改正案をもとに、来年4月からの概要をご説明しましょう。
賃金のデジタル払いの具体的なイメージは以下の通りです。

現金自動支払機(ATM)を利用すること等により1円単位の口座への資金移動ができる等一定の要件を満たし、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力と十分な社会的信用を有する資金移動業者で厚生労働大臣の指定を受けた業者が対象となります。
なお、少なくとも毎月1回はATM利用手数料などの負担なしに出金できることも付加しています。
企業は、従前の銀行口座又は証券総合口座への賃金支払も併せて選択肢として提示しなければならないとされ、現金か資金移動業者の口座かの2択は認められません。その上で労働者の自由意思に基づき、その同意を得たうえで資金移動業者へのデジタル払いが認められる事になります。
企業には、資金移動業者の口座への賃金支払についての必要な事項の説明を義務付け、たとえば、資金移動業者の破綻時の保証方法や労働者の利用実績を踏まえた給与振込額とする必要があることなどを記載した労働者の同意書の様式例を作成するとされています。なお労働者への説明については、使用者から資金移動業者に委託することも考えられるとしました。
なお、デジタル払いの開始にあたっては、①対象労働者の範囲、②対象となる賃金の範囲及びその金額、③取扱資金移動業者の範囲、④実施開始時期などについて、労使協定を締結することを要件とする予定です。
また資金移動業者については、破綻時に、労働者の口座残高全額を速やかに労働者に保証することを目的として口座残高上限額を100万円以下に設定している(又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じている)に限定することしました。
また資金業者のアカウントの有効期限については銀行並びで10年間は確保すべきとしています。
不正引出の補償についても手当されることになります。インターネット・バンキングと同等となるようにすべきとされ、無過失の場合には、全額補償することとし、損害発生時の資金移動業者への通知期限は最低でも損害発生日から30日以上は確保するとのことです。
以 上
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