PMP Premium News
2021.07.21
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雇用調整助成金の経済効果 – 労働経済白書 令和3年版 厚生労働省より

厚生労働省が、7月16日に労働経済白書『令和3年版 労働経済の分析 -新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響-』を発表しました。
その中で、コロナ禍で特別措置として昨年緊急に適用する事とした雇用調整助成金についての分析がありましたので、お知らせをします。
総括すれば、下図のような経済効果としています。

第1-(6)-11図 雇用調整助成金等による完全失業率抑制効果
すなわち、雇用調整助成金に緊急雇用安定助成金を含めた雇用を支える助成金全般による経済効果として、失業率を2.6%程度抑制したというのが結論となっています。
因みに、雇用調整助成金はそのうちの2.1%の効果と、雇用支援関連助成金全般の8割を支えたとのことです。
一方でこの間の完全失業率は2.9%でしたので、雇用関連の助成金なかりせば、コロナ禍により失業率は5.5%にも上昇したともいえるようです。
もちろん、雇用関連の助成金については、失業により成長分野への労働力移動を抑制してしまい、円滑な産業調整を遅らせる結果を招いた(displacement effects)を指摘する声があります。しかしながら、昨年のコロナ禍による失業を抑え雇用維持に一定の役割を果たしたという点については評価すべきものではあると思います。雇用調整助成金は7月16日時点で約4兆円の支給実績となっています。
白書の中で、厚生労働省は、これまでの雇用調整助成金を見直し、対象者を雇用保険被保険者以外にも拡大し、また申請手続きを簡素化し、事業主の申請を簡略化し、支給事務が迅速化されたと、“自画自賛?”しています。
もっとも、手続きの簡素化は休業者が急増した昨年5月には間に合わず、支給手続きの迅速化を狙って開始した電子申請も何度もシステムトラブルを引き起こした点などについては触れられていません。反省のないところに改善は無いようにも思え、心配でなりません。
さらに言えば、支給対象者は雇用保険被保険者から広がったのは事実ですが、それも結局は申請書に労働保険番号を記入する -これは最低でも労災保険の適用をしなければなりません – としていたため、労災保険にも加入していない中小零細規模の事業所に勤める労働者はこの支援から漏れていました。
「手続きが難しい」「制度をよく知らない」等の理由で雇用調整助成金の申請を行わなかった企業も、特に中小規模では少なくはありませんでした。
雇用調整助成金は最初に企業が労働者に休業手当を支給することが要件となるため、休業手当の資金負担から制度の活用を見送った企業もありました。
その後、休業手当の支払いを受けられない非正規を中心とする労働者を対象にハローワークが労働者に直接支給する休業支援金という制度も始まりました。
最初から雇用調整助成金などは使わずに、休業支援金一本としたほうが、企業の資金負担も事務負担も、行政現場の申請手続きの事務負担も軽減できたのではないかとも考えています。欧米では労働者に直接助成金を支給するという日本の休業支援金方式が一般的でした。
そのような振り返りは白書にはありませんでした。
新型コロナウイルスという未曾有の出来事でしたので、対応の誤りなどは甘受すべきものではありますが、同時に一つ一つを検証するプロセスは忘れてはならないと考えています。
以 上
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