2202年(令和4年)度、過労死等の労災補償状況が公表されました。

2202年(令和4年)度、過労死等の労災補償状況が公表されました。

精神障害等の労災トラブルが特に増加傾向にあります

厚生労働省は 2022年度 – 令和4年度の「過労死等の労災補償状況」 を公表しました。
ここでいう、“過労死等”とは、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。(過労死等防止対策推進法第2条)」と定義されます。

注:厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。

脳・心臓疾患では、業種別請求件数をみると、「運輸業,郵便業」172件、「卸売業,小売業」116件、「サービス業(他に分類されないもの)」111件の順で多く、支給決定件数は「運輸業,郵便業」56件、「建設業」30件、「卸売業,小売業」26件の順に多いという結果です。
年齢別の傾向をみると、請求件数は「50~59歳」303件、「60歳以上」283件、「40~49歳」164件の順、支給決定件数は「50~59歳」67件、「40~49歳」58件、「60歳以上」49件の順に多くなっています。
時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向は、支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」25件が最も多く、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「60時間以上~80時間未満」45件が最も多いという結果です。

精神障害の労災については、職種別の傾向は、請求件数は「医療,福祉」624件、「製造業」392件、「卸売業,小売業」383件の順、支給決定件数は同じ順位で「医療,福祉」164件、「製造業」104件、「卸売業,小売業」100件の順となっています。

職種別の請求件数、支給決定件数とも同じ順で「専門的・技術的職業従事者」699件、175件「事務従事者」566件、109件、「サービス職業従事者」373件、105件の順です。
年齢別の傾向では請求件数は「40~49歳」779件、「30~39歳」600件、「50~59歳」584件の順、支給決定件数は「40~49歳」213件、「20~29歳」183件、「30~39歳」169件の順に多いという結果です。
時間外労働時間別(1か月平均)の傾向支給決定件数は「20時間未満」が87件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が45件。
出来事別の傾向からは、支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」147件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」89件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」78件の順に多いという結果になっています。

過労死と何かと連想されがちな裁量労働をみると、裁量労働制対象者に関する脳・心臓疾患の支給決定件数は3件で、いずれも専門業務型裁量労働制対象者、精神障害の支給決定件数は8件で、こちらもいずれも専門業務型裁量労働制対象者でした。

以    上