PMP Premium News
2020.07.10
- 労働行政の動向
労災認定の考え方- 新型コロナウイルス対応 #50

お陰様で(というのも変ですが)、新型コロナウイルス関連のNews Letterは2月7日付の第一報から数えて50号(記念号と言うのも、これまた変ですが)となりました。
社員が“業務に起因”して新型コロナウイルスに感染する場合は労災給付の対象となります。しかしながら、これまで蓄積された新型コロナウイルスの感染事例を振り返ると、感染経路不明者も多く、そのような場合は明確な業務起因性が立証できない事にもなろうかと思います。
7月10日付で、厚生労働省の新型コロナウイルスに関するQ&A(企業向け)が更新され、この点について多少詳しく言及されるようになりましたので、ご紹介します。
具体的には以下の事例を紹介しています。
小売店販売員のGさんは、店頭での接客業務等に従事していたが、発熱、咳等の症状が出現したため、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
Gさんの感染経路は特定されなかったが、発症前の14日間の業務内容については、日々数十人と接客し商品説明等を行っていたことが認められ、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務に従事していたものと認められた。
一方、発症前14日間の私生活での外出は、日用品の買い物や散歩などで、私生活における感染のリスクは低いものと認められた。
(厚労省の事例紹介には続いて医師の専門家見解が紹介されています– PMP)
以上の経過から、Gさんは、新型コロナウイルスに感染しており、感染経路は特定されないが、従事した業務は、顧客との近接や接触が多い労働環境下での業務と認められ、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと判断されることから、(労災保険が)支給決定された。
感染経路不明の場合の労災対応は、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となると言うのが結論となります。
実務に応用するとすれば ①業務内容と感染リスクの関係は洗い出す ②営業等事業場外での業務に従事する場合は、行動履歴情報を作成の上保管する ③感染した場合は、その社員の感染前2週間の社外の行動もヒアリングする といったあたりを心づもりしておけば宜しいかと思います。
以前のNews Letterでも注意喚起しましたが、最近も筆者の身近なところで「新卒新人がようやく配属先に出社できた。支店長は大喜びで初日に皆で歓迎会として飲みに出かけた。」という事例がありました。在宅勤務から出社に切り替わる社員も増えてきています。人事の方々は、転ばぬ先の杖ですので、感染予防の観点での社内外の社員各自の行動につき注意喚起を徹底ください。労災は民事上の損害賠償を伴うことすらあります。ご存知のように。

注:( )は海外出張者 厚生労働省発表
詳しくは厚生労働省HPの以下をアクセスください。
Q&A全体: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
上記の内容はこちら:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q7-1
以 上
関連記事(同一カテゴリの最新記事)
-

-
2026.09.17
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
今年度最低賃金の動向 – 5%割れの上昇率!?
厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和8年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめました。改定額及び発効予定年月日は以下のとお…
-

-
2026.08.26
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
厚生労働省 時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導の見直し
先月21日の閣議で、日本成長戦略並びに経済財政運営と改革の基本方針2026 関連について① 36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について、よろず支援拠点等との連携を強化しつつ、…
-

-
2026.07.10
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
最低賃金 – 発効日を操作し負担軽減ですか?!
毎年都道府県別に決定されている最低賃金ですが、決定された最低賃金がいつから発効するのか?は、① 法定発効と ② 指定日発効の2種類が定められています。賃金法第14条第2項では、「公…
-

-
2026.06.29
- 労働行政の動向
早くも腰砕けの労働市場改革! – 日本成長戦略会議 労働市場改革分科会とりまとめが6月2日に公表
再び、力強い経済成長を日本で起こしたいという高市内閣の思いを受けて、昨年11月に生まれた日本成長戦略会議。高市首相は、日本経済の成長のためには旧態依然とした日本の労働市場の改革が…
-

-
2026.06.24
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
最近の労災請求は、精神障害、また50歳以上の脳・心臓疾患が増加 – 厚生労働省 過労死等防止対策推進協議会の議論から
※ 本記事の図表はいずれも6月5日に開催された 第32回過労死等防止対策推進協議会資料 からのものです。 まず、注目しなければならないのは、精神障害に係る労災請求件数の増加です。…
Pick Up News
-

-
2026.09.04
- 労働法改正
- 実務シリーズ
10月1日以降の有期雇用者用の雇用契約書 ‐ 厚生労働省からの発表
-

-
2026.09.01
- 労働法改正
- 実務シリーズ
10月1日からのカスハラ・求職者等セクハラを含んだハラスメント防止規定(簡易版)
-

-
2026.08.26
- 労働行政の動向
- 実務シリーズ
厚生労働省 時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導の見直し
-

-
2026.07.17
- 労働法改正
- 実務シリーズ
同一労働・同一賃金関連 パートタイム・有期雇用労働者に関するルールの変更が2026年10月1日から施行されます。
-

-
2026.06.08
- 労働法改正
- 実務シリーズ
ハラスメント、今注意すべき事項 その4 – 厚生労働省発表カスハラ等のQ&Aからの抜粋