PMP Premium News
2026.03.27
- 労働行政の動向
雇用調整助成金の振り返り – 3月23日付 厚生労働省報告書「緊急時における雇用調整助成金の在り方について」

コロナ期の雇用調整助成金は、コロナ感染防止のために政府が緊急事態宣言を発出し、また休業を要請するという前例のない状況に対応するため、2020年2月から3月にかけて調整金の受給要件の見直しを行い、最終的には助成率を、解雇なしの場合、中小企業 は10/10、大企業は3/4までに引上げ、雇用保険の基本手当日額上限を超えた1日1人当たり 15,000 円の特別上限額を設定などの手厚い休業支援としました。
かかるコロナ特例の異例の措置から、2020年1月から2023年3月までの調整金支給決定額は約 6.5 兆円に及び、財源である雇用保険の雇用安定資金が枯渇したため、法改正を経て一般会計の活用に至りました。
この調整金、分析すると、幅広い産業で利用されており、製造業が 19%、卸売・小売業が 15%、宿泊・飲食サービス業が 15%、建設業が 11%、生活関連サービス・娯楽業が8%とのことです。また、支給日数別の受給事業所割合を見ると、30 日以下が 48%、30 日超 100 日以下が 23%、100 日超 300 日以下が 20%、300 日超が9%となっています。年間の所定労働日数は240日程度ですので、今更ながらの手厚い対応だったことがわかります。
さて、この特別版の雇用調整助成金ですが、2021年版の労働経済白書の推計結果によれば、令和2年(2020 年)4~10 月の完全失業率平均が 2.9%に留まり、雇用調整助成金の支給により2.1%ポイント程度の抑制効果があったとされています。
その意味では、コロナ期の雇用調整助成金は、労働市場を取り巻く環境が悪化したコロナ初期に大量の失業発生を回避する役割を果たしたことは明らかのようです。
しかしながら、報告書では、雇用調整金助成金による廃業確率の低下及び雇用量の維持の効果は短期的に留まり、退出(廃業)時期の先延ばし効果にすぎない側面も示唆しています。実際に、雇用調整助成金受給終了直後に、離職が集中する傾向は観察されています。
また、受給事業所の離職者は非受給事業所の離職者よりも再就職に時間がかかっており、休業期間中に従業員のモチベーションや生産性の低下等を課題と感じた事業所の割合も受給事業所で高く、さらには受給等が長期化した事業所ほど高いという傾向も報告されています。
注:太字、緑字は筆者によるもの
報告書では、雇用調整助成金により全ての雇用を維持するといったことは実際には困難であり、一定期間に限った強力な雇用維持として、雇用失業情勢の厳しい時期を後ろに分散化させるとともに、雇用失業情勢が少し落ち着いた状態で、円滑な労働移動を促進するという視点が重要であるとのことです。このような視点から、雇用調整助成金の効果の最大化を図ることが必要であると考えられます。
参考: 緊急時における雇用調整助成金の在り方について(労働政策審議会職業安定分科会 報告書)
緊急時における雇用調整助成金の在り方について(報告書概要)
なお、本報告書は3月27日開催の第223回労働政策審議会職業安定分科会で議論、了承を得ました。
以 上
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