雇用調整助成金の扱いの変化等– 新型コロナウイルス対応 #54

雇用調整助成金の扱いの変化等– 新型コロナウイルス対応 #54

新型コロナウイルス関連のPMP News Letterとしては久々の発信となります。最近は厚生労働省からの新しい情報発信が何もなかったという事情を反映したものです。厚生労働省HPの『新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)』が10月12日付で更新されましたのでお知らせします。

まず追加されたのは「10 その他(職場での嫌がらせ、採用内定取消し、解雇・雇止めなど)」の「<労働条件の変更について>問2 労働者の労働条件(労働契約の内容)を変更する場合はどのような対応が必要でしょうか。」というQ&A。詳細は↓ですが、
//www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q10-2
特に、PMPの注意を喚起したのは以下の点です。労働条件の変更は労働者の合意が必要であるという原則論をまず述べながらも、「(以下の場合)就業規則の変更によって(労働者の合意なしに)労働条件を変更することができます。として
①その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。
 ・労働者の受ける不利益の程度
 ・労働条件の変更の必要性
 ・変更後の就業規則の内容の相当性
 ・労働組合等との交渉の状況
②労働者に変更後の就業規則を周知させること。」
と労働契約法第10条の解説をここで殊更のようにしている点です。注:( )はPMP追記

実は、新型コロナウイルスの影響から業績見通しが芳しくなく、労働条件の見直しの検討に着手する企業は珍しくはありません。人員削減まで相談される事例も増えています。厚労省のQ&Aの追記はそんな日本の事情を反映しているようにも思えました。

次の変化は雇用調整助成金関連の部分です。雇用調整助成金の特例措置の助成率、中小企業は90%、大企業でも75%、さらに要件に合致すれば特例的に100%助成もあるという“事業主の皆様を積極的に助成しています”と結んだ文章全体が削除されました。
(以下、変更前のQ&A該当箇所を抜粋しました。「今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ…」以降の文章が削除されています)

雇用調整助成金の特例措置は4月1日から12月31日まで既に延長されていますが、10月9日現在で支給済額として1兆7600億円弱、9月以降も週当たりおおよそ1000億円程度の支給実績が積みあがり続けています。先般の通常国会の2次補正で手当した予算額1兆4915億円をすでに超えています。
このあたりの事情があるいは関係しているのかもしれません。

以 上