産業雇用安定助成金の創設から1年、対象者が1万人を超える – 新型コロナウイルス対応 #91
産業雇用安定助成金とは新型コロナウイルスの影響で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、雇用を維持するため在籍出向を行う際に出向元と出向先の双方の事業主に対して助成されるものです。
※ご参照ください。 PMPニュース 産業雇用安定助成金の創設 – 新型コロナウイルス対応#60
厚生労働省によれば昨年2月の創設から1年経過、1万人を超える在籍出向者に活用されたとのことです。
【産業雇用安定助成金活用状況】
○出向実施計画届受理件数: 出向労働者数 10,440 人、出向元事業所数 1,063 事業所、出向先事業所数 1,746 事業所
○企業規模別: 中小企業から中小企業への出向が最多の 4,456 人(43%)、大企業から大企業への出向が 2,271 人(22%)、中小企業から大企業への出向が 1,992 人(19%)、大企業から中小企業への出向が 1,606 人(15%)
○業種別: 出向元の最多は運輸業・郵便業(4,103 人)、出向先の最多は製造業(2,085 人)
・出向成立の最多は製造業⇒製造業(1,271 人)
・異業種への出向割合は 62.9%
大企業のみならず中小企業にも幅広く活用されており、出向元は人流を支える観光や交通が多く、出向先は物流を支える産業や非対面系の業務が多くなっていると分析しています。
日本経済を立て直し、昔日の豊かな国に日本を引き戻すためにも、労働移動は必須のものです。そうは言っても、いざ“移動”となると一人一人が超えるべきハードルは中々大変なものがあります。
PMPは筆者はじめ、コンサルタントは全員、個人的な労働移動を何度も経験してはいますが、皆、振り返ればラッキーだったという思いを抱いています。
偶然のラッキーを伴わない労働移動も多く、特に日本の労働市場の実態や、移動リスクを支える貧弱なセイフティネットの現状を考えると、Postコロナでも、かかる在籍出向の促進は日本的な問題の解決策に繋がるようにも思えます。
最後に厚生労働省は、出向元・出向先の各企業ばかりでなく、出向者の以下のような声を紹介しています。
やや自画自賛にも思えなくもないものの、今後のさらなる円滑な労働移動の促進策を考えるうえでの材料ともなると思いますのでご紹介します。
例えば、兼業・副業を組み合わせて、週1日の在籍出向などの工夫も面白いように思います。
※出向実務の仕組作りはPMPにご相談ください。
【利用者の声】
・出向は、休業しなくてよいため、良い刺激となり、事業主・労働者の不安が軽減された。
(飲食店 ⇒ 倉庫業)
・毎日仕事があり、厳しく高い目標の職場の中で、自らのスキルを高められる環境にいる方が労働意欲の
維持・向上につながる。 (製造業 ⇒ 製造業)
・(食品加工等の業務から)飲食店に出向させたことで、最終消費者との会話を通じて自社商品に対する
新たな発見が多くあり、 出向元に戻った際に新商品の開発を進めたいと意欲を示している。
(卸売業、小売業 ⇒ 飲食店)
・一時的に人材確保できることで自社従業員の負担も軽減され、自社従業員の職場定着にも繋がると思わ
れる。(飲食店 ⇒ 倉庫業)
・中途採用の場合、技術習得まで数ヶ月を要するが、即戦力として従事していただいている。
(製造業 ⇒ 製造業)
・自社になかった発想やアイデアが出るようになり、職場が活性化している。
(生活関連サービス業(旅行代理店)⇒ 情報通信業)
・ 同じ溶接でも、使用する機械、塗料が異なり、技術面で得るところが多く、良い経験だった。
(製造業(バス溶接)⇒ 製造業(ダンプ・クレーン車溶接))
・一番大きなものは人間関係・新しい人脈。
(生活関連サービス業(旅行業)⇒ サービス業(調査事務等))
・出向期間終了後は元の会社に復職できることが約束されているので安心して働いている。
(生活関連サービス業(バスガイド)⇒ 医療福祉業(給食調理補助))
・ 休業の状態よりも仕事をしている方が充実していた。
(生活関連サービス業(旅行代理店)⇒ 情報通信業))
以 上