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2026.09.01

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10月1日からのカスハラ・求職者等セクハラを含んだハラスメント防止規定(簡易版)

厚生労働省から、10月1日から新たに施行されるカスハラ、求職者等セクハラもカバーした、ハラスメント防止規定案が発表されました。
これまでも、PMP Premium News等でお話をしているように、カスハラでは加害者、求職者等セクハラでは被害者が社外の場合も想定しており、これらを踏まえて就業規則の一部となるハラスメント防止規定にどのような形で纏めるのかという点で、各社では色々な議論がなされていました。かなり割り切った格好ですが、一応の整理がされているように思えます。

以下が、厚労省が発表したハラスメント防止規定となります。
  注:太字表記はPMPによるものです。

最初に就業規則本則に以下のようにハラスメントに対する基本的考え方と別規定との関係性を明示します。
【就業規則】
第□条 ハラスメントの禁止
パワーハラスメント、カスタマーハラスメント、セクシュアルハラスメント、求職者等に対するセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント及び育児・介護休業等に関するハラスメントについては、第○条(服務規律)及び第△条(懲戒)のほか、詳細は「ハラスメントの防止に関する規定」により別に定める。

続いて、ハラスメント防止規定となります。
【(簡易版)ハラスメントの防止に関する規定】
(目的)
第1条   本規定は、就業規則第条に基づき、パワーハラスメント、カスタマーハラスメント、セクシュアルハラスメント、求職者等に対するセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント及び育児・介護休業等に関するハラスメント(以下「ハラスメント」という。)を防止するために従業員が遵守するべき事項を定める。なお、この規定にいう従業員とは、正社員だけではなく、契約社員及び派遣労働者も含まれるものとする。

(パワーハラスメント、カスタマーハラスメント、セクシュアルハラスメント、求職者等に対するセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント及び育児・介護休業等に関するハラスメントの定義)
第2条   パワーハラスメントとは、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上の必要かつ相当な範囲を超えたものにより、就業環境を害することをいう。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワーハラスメントには該当しない。
2  カスタマーハラスメントとは、職場において行われる顧客等(取引先の従業員等を含む。)の言動であって、従業員が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、従業員の就業環境が害されるものをいう。
なお、顧客等からの苦情の全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、また、障害者から不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨の意思を表明すること自体は、カスタマーハラスメントには当たらない。
3  セクシュアルハラスメントとは、職場における性的な言動に対する他の従業員の対応等により当該従業員の労働条件に関して不利益を与えること又は性的な言動により他の従業員の就業環境を害することをいう。
また、相手の性的指向又はジェンダーアイデンティティの状況にかかわらないほか、異性に対する言動だけでなく、同性に対する言動も該当する。
4  前項の他の従業員とは直接的に性的な言動の相手方となった被害者に限らず、性的な言動により就業環境を害されたすべての従業員を含むものとする。
5  求職者等に対するセクシュアルハラスメントとは、従業員による「性的な言動」により求職者等による求職活動等が阻害されるものをいう。
6  妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメントとは、職場において、上司や同僚が、従業員の妊娠・出産及び育児・介護等に関する制度又は措置の利用に関する言動により従業員の就業環境を害すること並びに妊娠・出産等に関する言動により女性従業員の就業環境を害することをいう。
なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものについては、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメントには該当しない。
7  第1項、第2項、第3項及び第6項の職場とは、勤務部店のみならず、従業員が業務を遂行するすべての場所をいい、また、就業時間内に限らず、実質的に職場の延長とみなされる就業時間外の時間を含むものとする。

(禁止行為)
第3条   すべての従業員は、他の従業員や求職者等を業務遂行上の対等なパートナー又は将来の従業員・同僚になりえる者として認め、職場における健全な秩序並びに協力関係を保持する義務を負うとともに、その言動に注意を払い、職場内において次の第2項から第7項までに掲げる行為をしてはならず、また、自社の従業員以外の者に対しても、これに類する行為を行ってはならない。さらに、第3項に掲げる行為を他社の従業員に対して行ってはならない。
2  パワーハラスメント(第2条第1項の要件を満たした以下のような行為)
① 殴打、足蹴りする等の身体的攻撃
② 人格を否定するような言動をする等の精神的な攻撃
③ 自身の意に沿わない従業員に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離する等の人間関係からの切り離し
④ 長期間にわたり、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下で、勤務に直接関係ない作業を命じる等の過大な要求
⑤ 管理職である部下を退職させるため誰でも遂行可能な業務を行わせる等の過小な要求
⑥ 他の従業員の性的指向・ジェンダーアイデンティティや病歴等の機微な個人情報について本人の了解を得ずに他の従業員に暴露する等の個の侵害
3  カスタマーハラスメント(第2条第2項の要件を満たした以下のような行為)
① そもそも要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求
② 契約等により想定しているサービスを著しく超える要求
③ 対応が著しく困難な又は対応が不可能な要求
④ 不当な損害賠償要求
⑤ 身体的な攻撃(暴行、傷害等)
⑥ 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等)
⑦ 威圧的な言動
⑧ 継続的、執拗な言動
⑨ 拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)
4  セクシュアルハラスメント(第2条第3項の要件を満たした以下のような行為)
① 性的及び身体上の事柄に関する不必要な質問・発言
② わいせつ図画の閲覧、配付、掲示
③ うわさの流布
④ 不必要な身体への接触
⑤ 性的な言動により、他の従業員の就業意欲を低下せしめ、能力の発揮を阻害する行為
⑥ 交際・性的関係の強要
⑦ 性的な言動への抗議又は拒否等を行った従業員に対して、解雇、不当な人事考課、配置転換等の不利益を与える行為
⑧ その他、相手方及び他の従業員に不快感を与える性的な言動
5  求職者等に対するセクシュアルハラスメント(第2条第5項の要件を満たした以下のような行為)
① 性的及び身体上の事柄に関する不必要な質問・発言
② わいせつ図画や画面の閲覧、配付、掲示
③ うわさの流布
④ 不必要な身体への接触
⑤ 食事・交際を執拗に求めること
⑥ 性的な関係を求めること
⑦ その他、相手方に不快感を与える性的な言動
6  妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメント(第2条第6項の要件を満たした以下のような行為)
① 部下の妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置の利用等に関し、解雇その他不利益な取扱いを示唆する言動
② 部下又は同僚の妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置の利用を阻害する言動
③ 部下又は同僚が妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置を利用したことによる嫌がらせ等
④ 部下が妊娠・出産等したことにより、解雇その他の不利益な取扱いを示唆する言動
⑤ 部下又は同僚が妊娠・出産等したことに対する嫌がらせ等
7  部下である従業員がハラスメントを受けている事実を認めながら、これを黙認する上司の行為

(懲戒)
第4条   次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める懲戒処分を行う。
① 第3条第2項(①を除く。) 、第3項(を除く。)、第4項からまで及び、第5項(を除く。) 、第6項又は第7項の行為を行った場合
                   就業規則第▽条第1項①から④までに定めるけん責、減給、出勤停止又は降格
② 前号の行為が再度に及んだ場合、その情状が悪質と認められる場合、第3条第2項①、第3項⑤、第4項⑥及び⑦、又は第5項⑥の行為を行った場合
                   就業規則第▽条第1項⑤に定める懲戒解雇

(相談及び苦情への対応)
第5条   ハラスメントに関する相談窓口は本社及び各事業場で設けることとし、その責任者は人事部長とする。
人事部長は、窓口担当者の名前を人事異動等の変更の都度、周知するとともに、担当者に対する対応マニュアルの作成及び対応に必要な研修を行うものとする。
2  ハラスメントの被害者に限らず、すべての従業員は、パワーハラスメントやカスタマーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等、育児・介護休業等に関する就業環境を害する言動に関する相談を相談窓口の担当者に申し出ることができる。
3  対応マニュアルに沿い、相談窓口担当者は相談者からの事実確認の後、本社においては人事部長へ、各事業場においては所属長へ報告する。報告に基づき、人事部長又は所属長は相談者のプライバシーに配慮した上で、必要に応じて行為者、被害者、上司その他の従業員等に事実関係を聴取する。
4  前項の聴取を求められた従業員は、正当な理由なくこれを拒むことはできない。
5  対応マニュアルに沿い、所属長は人事部長に事実関係を報告し、人事部長は、問題解決のための措置として、第4条による懲戒の他、行為者の異動等被害者の労働条件及び就業環境を改善するために必要な措置を講じる。
6  相談及び苦情への対応に当たっては、関係者のプライバシーは保護されるとともに、相談をしたこと又は事実関係の確認に協力したこと(他社からの協力依頼によるものも含む。)等を理由として不利益な取扱いは行わない。

(再発防止の義務)
第6条   人事部長は、ハラスメント事案が生じた時は、周知の再徹底及び研修の実施、事案発生の原因の分析等、適切な再発防止策を講じなければならない。

カスタマーハラスメントへの基本姿勢
第7条   第2条第2項に掲げるカスタマーハラスメントに当たる行為に対しては、従業員の人格および就業環境を守る観点から、会社として毅然とした対応を行う。従業員が安心して業務に従事できる環境を維持することは、結果として顧客に対する安定的かつ質の高いサービス提供につながるものであり、会社はこの考え方に基づき、適切な対応方針および支援体制を整備する。なお、具体的な対処内容については、「○○株式会社カスタマーハラスメント対応マニュアル」に定めることとする。
2  従業員は、顧客等に対し誠実かつ丁寧な対応を心がけ、常にサービスの向上に努めるとともに、カスタマーハラスメントに当たる行為に対しては、前項のマニュアルに従い対応すること。

(その他)
第8条   性別役割分担意識に基づく言動は、セクシュアルハラスメントの発生の原因や要因になり得ること、また、妊娠・出産等、育児・介護休業等に関する否定的な言動は、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景となり得ることから、このような言動を行わないよう注意すること。 

附  則     本規定は令和日より実施する。

 なお、厚労省は、この規定の「注」として以下のようなコメントを付しています。

注1)    就業規則等に定めた事項以外にも、相談窓口を設置し、相談窓口担当者について周知するとともに、妊娠・出産等、育児・介護休業等に関する制度が利用できることについて、別途定めたうえで周知する必要があります。なお、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの相談に対応する相談窓口については求職者等に周知する必要があります。また、求職者等に対するセクシュアルハラスメントについては人事担当者への相談をためらうことも想定されることから、相談窓口の担当者として人事担当者以外の者を指定することも考えられます。

注2)    妊娠・出産等に関する否定的な言動や性別役割分担意識に基づく言動はハラスメントの発生の原因や背景となり得ることがあることから、このような言動を行わないようにすることについても、周知する必要があります。

注3)   カスタマーハラスメントは、業種・業態等によりその被害の実態や必要な対応も異なると考えられることから、業種・業態等における被害の実態や業務の特性等を踏まえて、それぞれの状況に応じた必要な取組を進める必要がありますので、対処の内容については、自社にあったマニュアル等の整備をする必要があります。また、対応の実効性を確保するために必要なカスタマーハラスメントの抑止のための措置も講じる必要があります。

掲記 厚労省の規定をレビューすれば、以下がPMP内で議論で皆様にお伝えすべきコメントとなります。

1.これまで巷間よく散見されたのは、就業規則はその適用対象を正社員に限定し、契約社員等の有期雇用者については別途定めるという整理があった。しかしながらハラスメントの規定に関しては、正社員のみならず、契約社員やパートタイマー。アルバイト等の非正規労働者も同様に順守しなければならない。その整理がなされています。
2.
前掲1.と関連し、厚労省は従来より一貫してハラスメントについては就業規則に標準的に記載されている、服務規律、懲戒にも記載することを指導しています。しかしながら、仮に、就業規則は正社員限定とし、非正規社員は別途定めるという整理のままであれば、非正規社員に対する服務規律と懲戒の定めをあわせて整理する必要があります。
PMPでは最近、就業規則本則、冒頭の就業規則の適用範囲の条項に、服務規律と懲戒(内容次第では、懲戒と同時に “表彰” も)の各章は、非正規社員にも適用するという整理を行っています。
3.厚労省規定の派遣社員の取り扱いには疑義があります。ハラスメントの防止対象を従業員等として派遣社員を含めることは首肯できますが、派遣社員の直接の雇用者は派遣元、派遣先は指揮命令者でしかないため、派遣社員は就業規則の懲戒の対象とはなりません。
4.掲記3.を踏まえると、この問題については、PMPは、「派遣社員その他会社が直接雇用しない者について第3条に該当する事実が認められた場合には、会社は、当該者の雇用主その他関係する事業者に事実を通知し、必要な措置を求める等、適切な対応を行う。」との整理が宜しいのではないかとは考えます。
5.昨年法制定されたフリーランス法では、厚労省は業務受託者に対しても、同様のハラスメント防止の取り扱いを求めています。都道府県各労働局の雇用均等課では専門指導員を設置し、各事業場にはフリーランスへのハラスメント対策の状況の調査や指導も行っています。
現状を見ると、厚労省は、労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法等による「労働者向けハラスメント対策」とフリーランス法14条による「特定受託業務従事者向けハラスメント対策」という、二本立てでのハラスメント対応を行いたいようです。
企業からすれば、ハラスメント防止規定を一つに纏め、ハラスメント対策として纏める方が、簡潔かつ間違いのない防止体制が構築できるのではと、ふとよぎりました。
6.求職者等については法改正では求職等セクシャルハラスメントとされ、この規定でもかかる定めとなっていますが、厚労省のQ&Aでは、「求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等についても同様の方針を併せて示すこと」としています。PMPでは、さらに求職者等については妊娠出産や育児等々、それ以外のハラスメントの被害も望ましくないと考えています。ハラスメント防止規定で、求職等セクシャルハラスメントと、セクハラに割り切っている書きぶりには疑問を覚えます。
7.最後に、厚労省規定からは、各企業は、別途 “対応マニュアル” をあわせて策定しなければなりません。厚労省からは以下のような情報が発信されています。
         あかるい職場応援団では、業種別カスタマーハラスメント対策の取組支援マニュアル を掲載しております。

以  上

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